2025年3月31日放送 12:22 - 12:30 NHK総合

みみより!解説
政府が備蓄米放出 疑問に答えます!

出演者
岩渕梢 
(みみより!解説)
政府が備蓄米放出 疑問に答えます!

解説委員・佐藤庸介の解説。政府の備蓄米放出。政府が備蓄しているコメは91万トン程あるが、放出されるのは合わせて21万トン。年間需要の約3%程。2回入札したが、1回目では合わせて41品種が対象。青森県産「まっしぐら」、新潟県産「コシヒカリ」など。2回目は35の品種で山形県産「はえぬき」など。21万トンのうち、去年産が14万トン、おととし産が7万トン。多くは「備蓄米」と表示されない見込み。1回目の入札で9割以上を落札したJA全農は、卸売業者に備蓄米と表示して販売しないように要請。備蓄米だと分かると取り合いになるかもしれないと説明。備蓄米と表示した安いコメが早々に売れ、また価格が元に高く戻ってしまうと混乱するのではないかという心配がある。実際には他のコメと混ぜてブレンド米として売られるのではないか。大手コメ卸によると、先週27日から首都圏の一部スーパーへの出荷が始まり、28日から販売がスタート。順次全国の店に並ぶ見通し。生協は今週にも関東や関西の10の生協で販売を始める予定。大手コメ卸が扱ったコメは、5kgで税込み3600円〜3700円台。生協でも5kgで税込み3000円台半ば〜後半になるという見通し。農林水産省の調査では、直近の平均小売価格は税込みで4100円を超えているため、それに比べると数百円安い。

キーワード
はえぬきまっしぐらコシヒカリ備蓄米全国農業協同組合連合会農林水産省

解説委員・佐藤庸介の解説。もともと農水省は放出の目的について、直接価格を下げるというよりも流通の目詰まりを解消するというふうに説明。「流通の目詰まり」について解説。業界関係者の間では、そもそも農水省がいう程コメがとれていないのではないかという指摘が多く聞かれる。疑念の背景には、収穫量があくまでサンプル調査ではじき出された数字だということがある。一方で当初、政府が強調していたように投機的に抱えている業者が多いわけではないという声もある。調達が心配な生産者、集荷業者、卸売業者などがそれぞれ少しずつ在庫を多めに持ったため、出回るコメが少なくなったのではないかという見方。価格を下げると期待されている備蓄米だが、多少、安く販売されたとしてもトータルの量は年間需要量に直すと半月分にもならない。安いということで人気になればすぐになくなってしまう。そこで、江藤農林水産大臣は政策効果が得られないと判断した場合は、追加の放出も当然検討すると述べている。しかし、今回の放出後に残る備蓄米およそ70万トンあるが、そのうち市場の評価が高い去年産は3万トン、おととし産は12万トンまで減少。農水省がねらっているように備蓄米の放出で流通の目詰まりが解消しなかったとしたら、結局、不足感は続いて値上がりに歯止めがかからない可能性も否定できない。ずっと備蓄米を放出しなかったことや、新米が出たら価格が落ち着くと言っていたがそうならなかったことで、消費者は農政に強い不信感を持っている。農水省やコメ流通関係者は、自分たちの想定が実態と違った場合でも自説にこだわらずに現実を認めて、とにかく混乱の収束に全力であたってほしいと思う。

キーワード
江藤拓農林水産省
(エンディング)
次回のみみより!解説

次回のみみより!解説の予告。

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