2024年3月20日放送 7:30 - 7:53 NHK総合

インタビュー ここから
俳優 佐野史郎

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(オープニング)
オープニング

オープニング映像。俳優・佐野史郎さん。1992年のドラマでマザコンのエリート銀行員・冬彦さんを演じ、時の人となった。役者としてあるこだわりがある。俳優を選んだのは虚構を生きるというのがあったという。3年前、生死をさまよう大病を患った。そこで気づいたのは日常のありがたさ。今、新たな気持ちで映画やドラマに挑んでいる。

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佐野史郎
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俳優 佐野史郎 虚構の世界を生きて

佐野さんは高校生まで松江市で過ごした。当時はいくつもの書店があったという。少年時代は江戸川乱歩の幻想的な物語の世界に心を踊らせていたという。物心がついたときから、虚構の世界に生きたいという思いがあったという。佐野さんは江戸時代から続く松江の開業医の長男として生まれ、周囲からは医者になるものと思われていたが、その期待に反して俳優の道を志した。親族会議が開かれてつるし上げられたこともあったという。幼少期から育まれてきた独特の個性が俳優・佐野史郎を形作った。クセのある役や悪役として存在感を発揮する。

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佐野さんがライフワークとして取り組んでいるのが、小泉八雲の作品の朗読。小泉八雲は日本の文化や風習を海外に伝えた。代表作の「怪談」は雪女や耳なし芳一など幽霊や妖怪が登場する不可思議な物語。朗読イベントを国内外で60回以上開催してきた。その中で佐野さんの心を捉えたのは八雲の生と死の世界。佐野さんはこの世とあの世を分け隔てず行き来するような、時間を過去と現在と未来を分け隔てずに未来を今として捉えているような感覚が好きなものに共通していて、そこに惹かれていたという。佐野さんが八雲に惹かれる理由は幼少期の体験にもある。佐野さんは自分がいま生まれたと思った日のことを覚えているという。3、4歳のときに幽体離脱的な感じで自分の姿が見えて自分の体の中に入っていって、いま生まれた、忘れないようにしようと思ったときの瞬間をよく覚えているのだという。

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3年前、佐野さんは多発性骨髄腫に犯された。敗血症を併発し一時は危険な状態となった。死に直面した佐野さんを救ったのは虚構の力だった。連日の高熱で死を意識したが、暗くなることはなかったという。闘病中は撮影現場だと一緒のようだと考えて、普段の仕事をしている感覚だったという。大病を経験し、日常のありがたさに気付いたという佐野さん。去年12月からはふるさと松江でドラマの撮影に臨んだ。俳優になる夢が叶わず日常に不満を持ちながら松江で暮らす主人公に別の人生をみせる怪しげな店主を演じている。佐野さんは日常を当たり前に過ごしていける幸せを視聴者の皆さんと共有できたらなと思うと話した。佐野さんはこれからについて、今きょうできることをただやるだけ、その積み重ねが結果がどうなるかは分からない、ここからどうしたいというのはない、大病を患って死を意識する時期もあって再発の可能性もなくはないので先のことは分からないが、長く生きてまだ仕事できていると話した。

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