2024年4月26日放送 2:12 - 2:40 NHK総合

クローズアップ現代
いつもの荷物が届かない? 物流“2024年問題”を追う

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
いつもの荷物どうなる?密着!トラックドライバー

開店直後のスーパー、これまでなかった空の棚があちこちにある。今月から始まったドライバーの労働時間の上限規制。これまで通り荷物が運ばれなくなると懸念されている。今回、長距離輸送の現場に密着。

オープニング

オープニング映像。

いつもの荷物が届かない?物流“2024年問題”を追う
いつもの荷物どうなる?密着!トラックドライバー

トラック輸送量は日本の物流年間42億トンの9割を占めている。ドライバーの健康を守るため、今月から労働時間の上限規制がはじまった。これまで実質無制限だった時間外労働は年間960時間までになる。それに伴い、拘束時間は1日最大、16時間から15時間に定められた。

いつもの荷物どうなる?追跡!2024年問題

全国有数の養殖ブリの産地である大分県佐伯市、年間1万トンが水揚げされ、東京や大阪へ出荷されている。長時間労働になりやるい九州の運送事業者は労働時間をどう減らすのか?豊洲市場へ向かうトラックに乗せてもらった。集荷は多いときで3か所の港をまわり、集荷に5時間かかることもある。荷物を乗せて港へ出発する。この日は会社に戻り、待機していた別のドライバーが大型トラックに荷物を積み替えている。この会社がはじめたのはリレー輸送。大分から東京までは1100キロ以上、全て陸路で運ぶとなると14時間以上かかる。集荷作業を合わせると、到着まで19時間以上かかる。そこで、集荷作業と東京までの輸送を2人で分担することにした。豊洲に向かうのはドライバー歴30年の植村富士雄さん。労働時間は5時間短縮した。フェリー乗り場にやってきた。大分から愛媛まではフェリーで移動し、その間は休息する。これで、7時間20分の短縮となる。植村さんは長年時間を気にせず働いてきたが、今後は単純計算で給与は月10万円以上減ることになる。4時間ごとに休憩をはさみながら走り1日の拘束時間が上限の15時間になる前に、この日は仮眠をとった。翌日の午後、指定された時刻までに豊洲市場に到着した。労働時間を減らし輸送を続けるか、運送会社の土井克也社長も対応の難しさに直面している。現在、思うようにドライバーは集まらない。ドライバーが集まっても輸送コスト上昇分は月30万円以上。

キーワード
ブリ佐伯市(大分)八幡浜(愛媛)掛川パーキングエリア明石海峡大橋東京都豊洲市場

矢野裕児氏は特に長距離輸送が深刻な状況になっている、トラック運送業の多くが中小企業で対応しきれない問題があるという。やむを得ず、これまで通りに走っているということもあるだろうという。リレー輸送をやりたい企業はあるが、現実に取り組んでいるのは大手企業ばかりだという。荷主との関係になやむ運送業者が多くいる。時間変更が難しい、運賃アップも難しい、交渉すると仕事を切ると言われるという現状もある。対策をしなければ、今年度14%の荷物が運べなくなるとの試算がある。暮らしへの影響は、荷物が届かない、鮮度が落ちる、輸送コストの上昇などがある。

“コスト増”誰が負担?追跡 !2024年問題

大分から東京にブリを運ぶ運送会社の社長・土井克也さん。輸送コストをどう賄うか地元の運送業者の社長たちと話し合っていた。土井さんたちは荷主である卸売業者に運賃を上げてもらうしかないと考えていた。この日、卸売業者の元を訪ねて苦しい現状を訴えた。卸売業者からは魚の売値を上げて運賃を上乗せできるよう努力すると伝えられた。

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ブリ佐伯(大分)東京都

野菜を出荷している青森県。野菜は単価が安く、産地間の競争も激しいため、値上げで輸送コストを賄うことが困難。今年度から荷主であるJAがコストの一部を負担する取り組みをはじめようとしている。これまでは、運送会社のドライバーが5か所ほどの集荷場をまわって出荷する野菜を集めていた。今後はJAがあらかじめ1、2か所の集荷場にまとめ運送会社の負担を減らす計画。パレットと呼ばれる荷物を乗せる輸送資材を購入し、JA側が積み込みをする。しかし、対策コストは年間約6000万円。農家に負担してもらわざるを得ない。農家の堰合繁さんは新たな対策で負担するのは35万円を超える見込み。

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三戸郡(青森)八戸農業協同組合

誰がコストを負担すべきなのか?矢野裕児さんはいろんなコストがあり、サプライチェーン全体で負担しなければならないという。物流は発荷主と着荷主がある。矢野裕児さんはお金を出す着荷主が力が強いという面があるという。

「慣習」を見直せるか?追跡!2024年問題

大手スーパー、開店直後にも関わらず空の棚がある。これまでスーパーでは開店に合わせてすべての商品を陳列することが慣習となっていた。そのため、朝の便にトラックが集中し、商品が多い日は追加のトラックを依頼することがあった。去年秋から追加便は原則中止にし、早朝に運ばなければならない生鮮品以外を一部昼の便にまわした。その結果、トラック日80便を減らすことができた。一方で棚の商品がなく販売機会を失ったりする不便が生じた。スーパーにとってはデメリットもあるが、2024年問題に対応するため慣習の見直しに踏み切った。

私たち消費者は?追跡!2024年問題

消費者ができることについて、矢野裕児さんはその商品じゃなきゃだめ?日時指定・再配達本当に必要なのか?を考えることだと話した。

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