2024年4月22日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
“水道クライシス”全国危機MAP あなたの町は大丈夫?

出演者
桑子真帆 
(オープニング)
水道“全国危機MAP” あなたの町は大丈夫?

水道管に異変が起きている。この春、水道料金の値上げが全国各地で相次いでいる。背景にあるのが水道管の老朽化。更新する費用をまかなえず、突然破裂する事態も多発している。今回1400近くの水道事業者のデータを独自に分析した。

キーワード
東松山(埼玉)浜松(静岡)
オープニング

オープニング映像。

“水道クライシス” ”全国危機MAP あなたの町は大丈夫?
水道“全国危機MAP” あなたの町は大丈夫?

日本の水道管の全長は地球18.5周分、そのうち4周分は耐用年数40年をこえて老朽化している。老朽した水道管の割合を示す全国危機MAPを独自に作成した。2011年度から10年で更新が間に合っていないことがわかる。

全国で水道が老朽化 忍び寄る危機の実態

茨城県大洗町。先月、水道管の事故があった。空き地から大量の水が湧き出し、土手下にある保育園に流れ込んだ。土を掘り返すと53年前の水道管が出てきた。管には大きな亀裂が入っていた。この水道管は浄水場から街全体に水を送り込む重要な役割を果たしていた。そこが漏水したため、約3400世帯で断水・濁水が発生した。事故直後、4つの小中学校が休校するなど、生活への影響が広がった。応急的な処置をして復旧まで36時間かかった。町では老朽管の割合がこの10年で2.5倍に増加。なぜ老朽管の更新が進まなくいのか?理由の一つが水道管が作られた当時、未来の更新まで想定されていなかったこと。残っているのは40年前の図面だけ。この日、行っていたのは試し堀り。取り替える水道管がどのように埋まっているのか探る。別の水道管が近い距離に埋まっていて特別な部品が必要なことが分かった。対応が遅れているもう一つの理由が人手不足。技術職員は3人で20人で半減している。漏水トラブルへの対応など目の前の業務に追われて、水道管の更新まで手がまわってこなかったという。町では予算を増やして更新のペースを早めたいとしている。

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南砺市(富山)大洗町大洗町役場大洗町(茨城)

大洗町よりも老朽化が進んでいる地域は全国各地にある。トップレベルに老朽化率が高いのは富山県南砺市。その一因となっているのが、散居村という田園風景。分散している家々をつなぐ水道管の総延長は約キロにもおよぶ。1人あたりに必要な水道管の長さは全国平均の約3倍。平野部だけでなく、散居部にも集落のがあり、100近くの浄水施設があり維持管理に費用がかかる。さらに、人口減少が追い打ちをかけている。人口はこの10年で8.2%減少。料金収入は減り続け、更新できる場所が限られている。

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南砺市南砺市(富山)
相次ぐ“値上げ” 全国の水道に何が

老朽化した水道管の修理など水道事業をまわしていくには、自治体が集める水道料金でけでは足りないケースがある。税金などで補填する水道事業者が増えている。そうした中で水道料金を値上げする自治体が増えている。

なぜ水道料金値上げ?自治体が直面する現実

神奈川県営水道は今後40年で4300キロの更新が必要だが、工事費用の急増に直面している。今行っているのは昭和34年の埋設。新たな水道管を設置するのは、深さ10m。都市化によっ地下の浅いところにはガス管や下水道管などがあり、より深いところに入れるしかない。その分、費用がかさみ水道管1キロあたり約2億2千万円かかる。資材や人件費の高騰などもあり、工事費はこの5年で4割ほど増加している。節水技術で一人あたりの水の使用料が減少している。神奈川県営水道では水道料金収入は15年間で15%減少している。

水道“全国危機MAP” あなたの町は大丈夫?

浦上拓也さんは日本は2010年以降に総人口が減少していて水道管は老朽化している、水道料金を値上げしなければ更新が進まない局面にきている。水道料金は安くあるべきという社会的要請が強く、過去30年間水道料金は値上げされてこなった。水道料金を改定する場合には議会の議決が必要。値上げを決めた自治体の中には、根回しをして議会で大きいな話題にならないよう苦労した、料金改定は十数年来の悲願で向こう1年程度は慎重にリスクを回避する必要があるなどの声があった。

どうする“水道クライシス” 新たな対策とは?

給水人口約11万人の福島県会津若松市。全国でもいち早くAIを活用し更新する水道管の優先順位を決めている。水道管の古さや種類、交通網、土壌など劣化を早める要因も計算に入れた。2年間で43万トンの漏水を減らすことができた。同時に力を入れるのが広域連携。この日は会津坂下町への技術指導。これまでは自治体ごとにばらばらの方法で行ってきた維持管理を災害時にもサポートできるように連携して地域で強い水道をつくることが重要だと考えている。

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会津坂下町(福島)会津若松市会津若松市(福島)

宮崎市田野町。水道課の職員が週に4回、給水車で水を運んでいる。運搬給水のきっかけは19年前の土砂災害。浄水場や水道管が流されてしまった。当初は別の場所から水道管をひく復旧工事を考えたが多額の費用がかかることがわかり、10分の1の予算ですむ運搬給水を選んだ。住民の理解も得てはじめた運搬給水は現在、2世帯が利用している。

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宮崎市田野町(宮崎)

浦上拓也さんは水道管を更新せずに、運搬給水をすることでコスト削減にはなるが、自然災害などで給水地までいけないことになると一時的に断水となってしまう可能性はあるという。浦上拓也さん水道クライシスを乗り越えるには、広域化と官民連携が必要だと指摘。地方では地域での広域化な枠組みでの水道事業を実施することが重要だという。人口減少が進むので官民連携と広域化が必要だと話した。

自分の町の水道は?まず“知る”ことから

住民が参加する水道サポーター制度を16年続けて岩手県矢巾町。町の水道の現状や課題について住民に伝えてきた。老朽化が進んでいるのか水道施設の視察も行っている。普段は気に留めることのない水道についてまずは知ることからはじめた。

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矢巾町(岩手)

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