- 出演者
- 桑子真帆
小林製薬のサプリメントを接種したあと5人が死亡するという異常事態。紅麹の事業を小林製薬に譲渡した企業の元社員が取材に応じた。原因物質は?異変はどこで起きたのか?不安の声が相次いでいる。
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オープニング映像。
これまでに小林製薬のサプリメントを接種し、死亡したのは5人、のべ212人が入院している。入院している1人が取材に応じた。先週から入院している60代の女性。女性が飲んでいた紅麹のサプリメントのロッド番号は公表された問題の番号に該当していた。女性はおととし11月から1日3錠、1年半服用し、コレステロール値は改善していた。異変が起きたのは先月はじめで頻尿が続き、尿にも泡がたつという異変が起きた。倦怠感を覚えた女性は泌尿器科クリニックを受診し、腎臓の病気の可能性があると指摘された。大学病院で診察を受けたところ、ファンコニー症候群を発症していた。ファンコニー症候群とは腎臓の機能が低下する病気。腎臓の中にある尿細管で炎症が起きて、必要な成分が人体に吸収されず、倦怠感や脱水を引き起こす。症すすむと尿に泡立ちがみられ、慢性の腎臓病となって透析が必要となることもある。女性は仕事を1か月休み、入院して治療することになった。日本大学医学部の阿部雅紀教授が最初に治療にあたったのは去年12月でファンコニー症候群が疑われた。成人の場合は薬剤によって引き起こされることが多いが、患者が日常的に服用している薬はなく、唯一服用しているのが紅麹のサプリメントだった。当初はサプリメントが原因とは考えていなかった。その後、ファンコニー症候群の患者が相次いだ。いずれも薬は服用せず、紅麹のサプリメントを接種していた。阿部教授のグループは2月1日、小林製薬に連絡をとり問題の究明を求めた。その後、学会に報告があった47人中46人の患者がファンコニ症候群の疑いがあることが分かった。
紅麹事態が問題があるわけではない。紅麹は古くから食品の着色料などに使われてきた。小林製薬の紅麹は安全なものであることが分かっている。サプリメントで被害が相次いでいることについて、東京大学の唐木英明さんはサプリメントのほとんどが錠剤・カプセルで有効成分を濃縮していることで、有毒な成分も濃縮してしまう特長がある。サプリメントは毎日接種するものでゆっくり症状が出てくることが起こりえるという。小林製薬の紅麹原因をおろしている52社と、その会社から原料を入手している173社では健康被害の報告はない。被害報告の原料から検出されたのはプベルル酸。小林製薬は1月15日、最初の症例があり、問題を公表したのは3月22日、調査に時間がかかったとしている。
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先月、小林製薬の大阪工場に立ち入り検査が入った。ここで、紅麹の原料を製造していたが、去年12月に老朽化を理由に閉 鎖。設備は移設されていて、原因は分かっていない。紅麹の事業を小林製薬に譲渡した企業の元社員が取材に応じた。元社員は紅麹の扱いは難しく、工場では徹底した管理が行われていたという。タンクで密閉し減菌された条件で培養が行われていたという。サンプリング調査も複数行い、雑菌が含まれていないか確認していたという。元社員は紅麹菌の培養段階ではなく、製造された紅麹がその後どこかのプロセスで汚染されたのではないかという。一方、紅麹の培養に詳しい専門家は培養段階で問題が起きたと考えるのが自然だと指摘する。くらしき作陽大学の河野教授は培養段階でカビの原因となる胞子が混入した可能性があるという。渡辺敏郎教授はは培養段階で重要な培養タンクの不具合の可能性を指摘している。小林製薬は大阪工場の培養タンクについて、問題との関係は不明だが過去に何かしらの不具合で温水がタンク内部に入るトラブルが起きたケースがあったと明らかにしている。渡辺教授は培養タンクの配管など見えづらい欠損が発生した可能性があると指摘。専門家は紅麹の扱いの難しさを踏まえた対策作りを進めるべきだと訴えている。
東京大学の唐木英明さんは去年4月~10月の間に未知の成分の混入があったとされていることがヒントになる、可能性としては青カビの胞子が培養装置に入り込んで青カビが繁殖して未知の成分を作った、さらに培養タンクに不具合があり外部から青カビが入り込んだ可能性も考えられるという。製造工程で培養したあとの紅麹のサンプルが残されていることが分かったが、このサンプルを分析したかどうかは小林製薬は明らかにしていない。今後求められることは、原因物質の特定、消費者の対応、企業の説明責任となる。
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