- 出演者
- 桑子真帆
オープニング映像。
- キーワード
- 大阪地方検察庁
山岸忍さんは身に覚えのない横領の疑いで逮捕された。特捜部が山岸さんの有罪立証の柱としたのが元部下の供述。元部下への取り調べが行われたのは20日間。取り調べの録音・録画の映像では、山岸さんの関与を否定する元部下の供述を大声で問い詰める場面もあった。後に、山岸さんの関与を否定していた元部下は、山岸さんの関与を認める供述をした。特捜部はこれらの供述を柱に山岸さんを起訴するが、一審で無罪が確定。判決で裁判長は「このような検察官の発言は元部下の供述の変遷の一因になった可能性が否定できず、供述内容の真実性については疑いが残る」などとして警察の捜査を批判した。山岸さんは逮捕後、248日間にわたって勾留。その間に創業した会社の社長を辞任することになった。
今回の取り調べに問題はなかったのか、最高検察庁に問うたところ、「現在、係争中であり、個別案件に関することはお答えできませんが、不適正であるというそしりを受けることがないよう、より効果的な指導を行うなど取り組みを進めてまいりたいと考えております」とコメントしている。ジャーナリストの江川紹子さんは「(不適切な取り調べをした)検事だけの問題ではないのではないか。全体的な問題じゃないかという思いがある」などと話した。
不適切な取り調べの実態を社会に広く知ってほしいと考えた山岸忍さん。弁護団と共に国側に映像を公開するよう、3年前から求めてきた。もともと、取り調べの映像は山岸さんが無罪判決を受けた刑事裁判の過程で証拠として使われた。しかし、その映像は法律で刑事裁判以外での使用が制限されていて原則当事者以外は見ることができない。一方、民事裁判で証拠として採用されれば誰でも閲覧することが可能になり、検証にも繋がると考えた。ところが、国は容疑者のプライバシーなどを理由に録音・録画の提出を拒否。その判断は最高裁まで争われ、公開が認められるまで2年7か月を要した。
取り調べの録音・録画が社会の目にはなっていないという指摘がある。ジャーナリストの江川紹子さんは「できるだけ開かれた場で議論することが必要」などと話した。
冤罪被害者の村木厚子さんは「失敗しないように」という検事の言葉に引っ掛かったという。村木さんは「検察組織が謙虚になって間違いが起きない仕掛けを入れるのが自分たちのためにも大事だともう一回認識し直してほしい」と話した。