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歌舞伎と最新テクノロジーが融合した「超歌舞伎」について中村獅童さんは「古典歌舞伎の枠組みからはみ出ないようにやっている。こちら側がブレると何とコラボしているか分からなくなる」などと話した。
歌舞伎の名門・萬屋に生まれた中村獅童さんは、父・三喜雄さんが役者を廃業していた影響で歌舞伎の世界に入ってから端役しか与えられなかったという。この時期を母・陽子さんが支えてくれたとのこと。映画「国宝」に出てくる「親がいないのは首がないのと同じ」という台詞は獅童さんの祖母が言った言葉で、獅童さんは映画を観て5回ほど泣いたという。10代後半で役が与えられなくなると、ロックバンドや俳優業など様々なことにチャレンジ。祖母・ひなさんからは「役者なんだからどんなことも役に立つんだからどんどんやりなさい」と言われたという。三喜雄さんは獅童さんが主役になった時に初めて息子の歌舞伎を観たといい、獅童さんは「幕が開いた瞬間に親父がすごい拍手していて嬉しかった」などと話した。獅童さんは数々の映画やドラマ等に出演して知名度を上げ、歌舞伎の世界でも2020年に「義経千本桜」で主演を務めるなど大きく飛躍。外の世界で認められた後に歌舞伎の世界で名をあげるサクセスストーリーこそ獅童さんが“異端”と言われる所以。獅童さんは「目標があるから楽しかった」などと話した。
2016年、43歳の中村獅童が始めた新たな挑戦が、最新テクノロジーと歌舞伎を融合させた超歌舞伎。会場は、歌舞伎とはかけ離れた幕張メッセのイベントホール。バーチャルシンガーの初音ミクが古典歌舞伎の世界に登場。歌舞伎に馴染みのないアニメやゲームファンにも見てもらうための新たな試み。舞台を締めくくるのは、初音ミクのヒット曲「千本桜」のコール&レスポンス。ペンライトを振る演出はこの時から行われていた。中村獅童は、歌舞伎は古典を演じるときでもいろんな方が演じてきたお役をやらせていただくので、先人や亡くなった祖母がいつも近くにいるという。新しいものを作る時は特にそうだという。歌舞伎の進化を目指し、翌年も幕張メッセで超歌舞伎を開催。今後もライフワークとして超歌舞伎を続けていくはずだったが、2017年4月に超歌舞伎をやって、その時医者に初期の肺腺癌と言われたという。
2017年、中村獅童は医者に初期の肺腺癌と言われたという。4月の超歌舞伎で5000人のお客を目の当たりにしたときに、口上をやってる時に込み上げてきて、もしかしたらこの光景を見るのも最期になるかもしれないと一瞬そうなったという。死の病を告知されても舞台に立った。中村獅童を奮い立たせたのは、入院したら超歌舞伎のスタッフがずっと待ってますみたいな熱い手紙とか、千本桜に見立てたサクラにメッセージをいっぱい書いて事務所に送ってくれて、病に打ち勝ってまたあの場に戻って「俺は帰ってきたぞ」という思いをぶつけないといけないと元気をもらったという。その思いが芝居になったのが2018年。病を克服し、中村獅童は超歌舞伎の舞台に帰ってきた。中村獅童は「本当に感動的だったし涙涙でよかったよかったって、その後の舞台復帰の活力にもなった」などと話した。歌舞伎座で超歌舞伎の公演は誰もが夢物語だと思っていた。2023年12月に歌舞伎座での公演が決定。10年近くかかってようやく歌舞伎座にたどり着き今度は2度目。親のいない歌舞伎の世界で主演を張るのは無理だと言われた1人の少年。もがき苦しみながらも運命に立ち向かい、誰もが無理だと言った主役の座を勝ち取る。そして死の病すらも克服し、超歌舞伎を歌舞伎座まで導いた。
10周年の今回も舞台は歌舞伎座で、今年も歌舞伎座を行う。兄の陽喜くんは3年前から、弟の夏幹くんは2年前からそれぞれ超歌舞伎に出演している。これまでの舞台は全て父の獅童さんと同じシーンに出演し、出番も3分程度と短かった。しかし昨年からは歌舞伎俳優として名乗り始め、今年の超歌舞伎では出番も大幅に増加して立ち廻りなどにも挑戦することになった。稽古中は父の獅童さんも動きを細かくチェックし、立ち位置も正確に教え込んでいる。子どもたちの稽古は獅童さんの妻で2人の母の沙織さんも見ていて、動きやセリフも全て覚えて稽古前に子どもたちと確認をしている。
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- がん歌舞伎座超歌舞伎「今昔饗宴千本桜」
超歌舞伎の舞台に立つための子どもたちの稽古は妻の沙織さんも見ていて、足さばきやセリフも厳しくチェックする。ただ次男の夏幹くんはまだ5歳で、中々集中することが難しい中で根気よく教えていく。稽古の後は沙織さん手作りの弁当を食べ、夏幹くんも機嫌を戻した。
12月、歌舞伎座では、最新テクノロジーを使った超歌舞伎のほかに、「芝浜革財布」が演じられる。中村獅童の型破りの挑戦だとのこと。江戸時代からの歌舞伎では女性の出演が制限されている。寺島しのぶが出演。女性を起用するのは現在でもみられないこと。寺島さんはいつか歌舞伎座の舞台に立ちたいと思っていたとのこと。中村獅童さんの母は、歌舞伎だけではなくいろんな演劇を見せたという。
超歌舞伎 Powered by IOWN「世界花結詞」は歌舞伎座にて12/4-26まで上演される。初音ミクが立ち回りを披露する。長男、次男も出演する。大立ち回りがあるという。最大の見せ場は、観客とひとつになる千本桜のコールアンドレスポンス。未来を見ていたいと中村獅童さんが語る。異端児の挑戦は終わらない。
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