- 出演者
- 矢内雄一郎 佐々木明子 片渕茜 平出真有 藤井由依 滝田洋一 井上哲也 内田稔
プラザ合意の交渉を支えた元大蔵省財務官の行天豊雄氏、当時の双子の赤字を抱えていたアメリカで保護主義的な姿勢が強まりその対抗策としてドル高の是正の機運が高まったという。行天氏は景気が悪くなって、失業が増えたりするのではという不安が高くなって、アメリカの議会が保護主義的な法律を作っていった、作ろうとした。ドル高を是正する必要もあるのではという感じは国際的な共通意見になっていたと思う。ベーカー財務長官は政治家的で劇場型だったと述べる。プラザ合意後のドル円相場のグラフ。これほど急激な円高は予測できなかったと振り返る。行天氏は驚いた。強く動き出すとは予想してなかった。条件が整っていたからだと思う。介入をしたのが世界の主要通貨の5か国の当局。規模が非常に大きかった。初めての円高水準、国内では大きな反発が広がる。景気を支えるための大蔵省が日銀に対し金融緩和を進めるよう圧力をかけたとされている。しかし行天氏はこの政策にはミスがあったっと振り返る。行天氏は不動産と株に金が流れてバブルになった。バブルが大きすぎた。破裂のダメージが大きかった。本来ならばもっと短く済んだのかもしれない。失われた30年という時間になってしまったと述べる。
現在の金融緩和政策について、行天氏は日本の金融緩和は非常に長い。それは日本の景気回復が本物でないから。金利が正常でないと経営がどうしても甘くなる。日本の金利とアメリカの金利がなかなか縮まらない。日本の金融政策も少なくとも国際的なレベルまで正常化したほうがいいと思うと述べる。円の国際的な価値が失われると危惧する。現在ではトランプ政権のもと、輸入品に高関税を課す保護主義政策が世界経済の混乱を招いている。今後、日本や世界は何をすればいいのか?行天氏はアメリカの覇権的な地位がだんだん衰えるのは避けられない。世界的な問題を世界的な規模でみんなで話し合おうという場もなければその意思もない。それが今の世界の秩序のない見通しのない、不安定な時代になっている原因ですねと述べる。
プラザ合意について、野村総研・井上哲也氏は、結果論でみると個人消費は2%台後半から3%ぐらいをバブル期にかけてずっとしていく。設備投資というイメージがあるかもしれないが輸入物価が下がり、消費ができたということ。この点にも配慮し政策が必要だったかもしれないと述べる。日本経済新聞客員編集委員・滝田洋一さんは行天さんのインタビューの最後の部分が印象的。一言でいうとプラザは遠くになりにけりということ。先進国だけでいろいろな問題を決めるのはとうの昔に終わった。国際協調の議論を繰り返すのではなく、日本が自分自身の立ち位置をしっかり持たないと浮遊する、流されるリスクが出てきていると思うなどと話した。
通貨協調は再来するか?米ドル実質実効為替レートのグラフ。アメリカの高金利政策がドルを押し上げている。トランプ政権がドル安を思考するのではないかという疑心暗鬼につながる。アメリカの貿易構造については当時と変わっている。ユーロ圏、日本を足してもアメリカの貿易赤字の3割にも満たない。当時にならえば最大の貿易赤字相手先である中国を取り囲むのが必須。現代の米中関係に照らせばその可能性は極めて低い。ドル高是正のための協調介入の実現性は?実現性は低い。中国のウエイトが低い。先進国だけでものを決められる状況にない。中国は通貨調整に対して極めてシビアな態度をとる。中国を組まないと無理だといえる。為替市場の規模は40年で拡大している。為替取引高のグラフ。アメリカの製造業の復活、雇用の創出を考える上で高い関税を課すほうが手っ取り早い。関税を個別交渉に使うというのは相当な威力を発揮していると指摘。外貨準備を固定資産な投資に持っていくのは本来の目的とは違う。どうしてもやりたいなら別勘定にして損失もリターンも区分した方がいいなどと指摘。
「ドル基軸通貨」の岐路について。基軸通貨になると、決済需要や予備的需要が働く。値上がり、値下がりに関係なく需要が増える。基軸通貨になると、当初は大幅な通貨高になるはず。輸出を重視している国や地域は望まない。典型例がリーマンショック。決済通貨の多極化、多様化は進む。人民元はその過程でなにかの役割は果たすと指摘。中国は貿易のウエイトが非常に高まっている。ユーロ圏でも資本市場の統合化が進んでいくと運用市場としての魅力がでてくる。その2つはアメリカに対してチャレンジしていくという可能性はあると指摘。
金融政策のあるべき立ち位置について。プラザ合意後のドル円相場のグラフ。円高の歴史だった。円高を支えたのは日本の貿易黒字。日本のインフレ率が海外より低い。これが2つとも変わっている。日銀の金融政策によってインフレ率も海外よりもある程度高い状況が続く可能性がある。今の円相場は異常な円安。今の水準が新状態となりここから円安にいく可能性も念頭に置く必要がある。日本の立ち位置は?為替に左右された。為替は知りませんという話ではなく、為替の金融政策決定におけるウエイトを高めていく必要があると指摘。対米投資により日米産業の一体化、融合が加速する。アメリカ国債の唯一の支え役になるのは日本。日本のお金がアメリカに組み込まれる度合いが強まることが気になる。政治の課題などと話した。
全国の気象情報を伝えた。南には台風18号、19号がある。
アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)・ミラン理事は19日、トランプ関税による物価上昇圧力を否定した。CNBCとのインタビューでミラン理事は「物価は常に変化するものだが、それが金融政策で対応すべき物価変動かは別問題」だと述べた。トランプ派と目されるミラン理事は先週開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)で0.5ポイントの大幅利下げを主張した。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は19日、「インフレよりも大きなリスクは労働市場の急激な悪化」だと指摘した上で、年内残り2回のFOMCでそれぞれ0.25ポイントの利下げを予想した。物価に関しては関税の影響は極めて不透明なものの今後1、2年はインフレ率が4%~5%の水準に急上昇するのではなく3%、もしくはそれよりも少し高い水準で推移するのではないかとの見解を示した。
「日経・東証IRフェア 2025」が26日金曜日から2日間の日程で開催される。初日の午後4時からはニュース「モーニングサテライト」番組制作の舞台裏と題した講演会を予定している。事前登録が必要だが、入場は無料。
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きょうはプラザ合意から40年。井上哲也が「これからちゃんと財政リスクであったりインフレリスクであったりというのをきちっと国際市場を発信していくという、そういうマーケットになってほしいな」などとコメントした。シカゴ日経平均の先物の値は45050円。内田稔が「総裁選後の財政拡張への期待も非常に強いと思います」などとコメントした。
エンディング映像。