- 出演者
- 豊島晋作 竹崎由佳 入山章栄
オープニング映像。
今年のノーベル化学賞に京都大学の北川進教授が選ばれた。受賞理由は「新たな多孔性材料の開発」。日本のノーベル賞受賞はおとといの生理学医学賞の坂口さんに続き30人目となる。ノーベル賞発表のおよそ1時間後、京都大学の会見会場に駆けつけた北川さん。関係者から大きな拍手で迎え入れられた。今回の受賞は寝耳に水だったという。受賞理由となったのは新しいタイプの多孔性材料の開発。「多孔性材料」とは、たくさんの小さな穴があいている材料で、その一つの活性炭は、古くから水の浄化などに使われてきた。北川教授は、材料の穴に着目しそこで気体物質を分離貯蔵変換を行えば、新しい材料の開発に繋がると研究を開始。1997年、大量の気体分子を吸い込み、ためることができ新しいタイプの多孔性材料を世界で初めて科学的に作ることに成功した。すでに企業でも応用が進み、石油化学製品の製造販売などを行うクラサスケミカルは北川教授の指導のもと工場の排出ガスの中から二酸化炭素を分離するための分離材の開発を行っている。天然ガスなどの貯蔵や温室効果ガスの分離など、様々な分野への応用の可能性が評価された今回の受賞。北川教授は成功の秘訣について「興味を持って挑戦する姿勢」をあげていた。
今回のノーベル化学賞の受賞は日本の産業界やビジネスマンにとって持つ意味も大きい。北川教授の研究は少し前から「夢の技術」と結構ビジネス界で注目されていた。実際に技術があると例えばCO2を吸収するとか水素の貯蔵ができるとか、それから触媒の新しい技術の中にも応用されるということで実は2040年ぐらいにある試算だと数兆円のマーケットがこの技術から生まれてくるなんていう試算もある。ビジネスに直結した素晴らしい成果だという。
匿名性の高いインターネット空間「ダークウェブ」にアサヒグループのロゴがメッセージとともに掲載された。サイバー攻撃によって、先週からアサヒグループで続いているシステム障害。現在も受注や物流のシステムは復旧していない。そして7日、原因となったサイバー攻撃について「Qilin」を名乗るハッカー集団が犯行声明を公開した。生命では「アサヒグループから、およそ9300のデータを盗んだ」と主張。サイトには従業員の個人情報や内部資料とみられるファイルが掲載されている。アサヒグループは今日夜、「サイバー攻撃で流出したとみられる情報を、インターネット上で確認した」と発表した。Qilinとは一体何者なのか。セキュリティー企業「トレンドマイクロ」の高橋昌也さんによると、解析の結果、ロシア語の環境下でのみウイルスが動作を止める仕組みになっていることが判明。ロシアに関連した組織だと推測できる。システム内のデータを暗号化しその会社に金銭を要求するランサムウェア攻撃を中心に行う「Qilin」。3年前に活動を始めて以来、被害件数は世界で800件を超えている。さらにセキュリティ対策についてのサイト運営する河野拓さんによると「Qilin」は去年から今年にかけて日産の子会社など日本企業6社以上にサイバー攻撃を仕掛けたことを明かしている。被害発生から1週間、アサヒグループは明日から生産を停止していた工場の稼働を全て再開すると明らかにした。ただサントリーは今日、12月に予定していた数量限定のビール2商品の発売を中止すると発表。アサヒの出荷減少による受注の急増を受けプレミアムモルツなどの定番商品の安定供給を優先するためとしている。混乱が続く中、解消のめどは見えているのだろうか。
今回のサイバー攻撃を受けてアサヒはビールの生産出荷などが通常通りできず大きな損害を受けている。早稲田大学ビジネススクール・入山章栄教授は「アサヒは比較的狙われやすいタイプの会社で、製造業というのはオペレーションとデジタルのスキーム結構狙われやすい。あとおそらく海外子会社が多いのでちょっとセキュリティーが甘くなってる可能性もあって、私は日本企業全体がちょっと、この辺の意識が甘いんじゃないかなと思っている。いわゆるBCP(事業継続計画)は普通、地震とか台風とか、天災のやつはいろんな日本企業さん対策やってるですけどサイバー攻撃っていうのは実はだいぶまだ準備が弱い。本当はデジタルの方もサイバー攻撃に遭ったときのために毎年デジタル避難訓練を本当はやるべき。例えばバックアップ用のシステムを全部作っておいて、デジタルの避難訓練の日は全部その表に出てるサーバーを止めてバックアップでもちゃんと機能するのかっていうのをやるとか、そういったことをやっていく必要があると思う」とコメント。犯罪者に報酬を与えないためにも事前の準備が必要と主張した。
経営不振に陥っている日産自動車について、閉鎖を決めた神奈川県の追浜工場をめぐりEV(電気自動車分野)での協業や工場の売却先として、台湾の鴻海精密工業と水面下で協議をしてきたが、交渉が決裂したことがテレビ東京の取材でわかった。8年ぶりのフルモデルチェンジを行った新型リーフはバッテリー容量が増加し航続距離が現行モデルの1.5倍以上となる702キロまで延びた。価格はおよそ518万円からで北米では先月から、すでに販売が始まっていて国内では17日から販売を開始する。
日産の「リーフ」はおよそ15年前、世界初の量産型EVとして市場に投入され「EVといえば日産」と呼ばれるほど日本のEV市場をけん引してきた。ところが、脱炭素に後ろ向きなトランプ政権によるEVへの補助金の終了などで、北米を中心に逆風が強まっている。新型リーフの国内向けと北米向けの生産を担う栃木工場を訪ねると従業員は「ほとんど生産がない状態」と話していた。日産はEV販売の見通しが改善しないことなどを踏まえリーフの生産計画を従来より大幅に縮小。販売の拡大だけでなく、工場の稼働率を高めることも難しい状況にある。
世界のEVをけん引するライバル企業も日産に立ちはだかる。このところ日本で急激に売り上げを伸ばしているというテスラのEV「モデル3」は航続距離は最大706キロ。補助金を活用すれば421万円から購入可能だ。テスラジャパンは、今年4月から販売戦略を一新。1000万円を超えるEVの取り扱いをやめ5~600万円台の価格帯を中心に据えて大衆車のイメージを打ち出す戦略に変更した。その結果、これまで日本のEV販売台数で、トップを走っていた日産に対しテスラが猛追。ついに先月、テスラは追い抜き日産は首位の座から陥落した。テスラジャパンの橋本理智社長からは「日産は脅威とは思っていない」とまで言われている。
逆風と追い上げの板挟みにあう日産のEV戦略。さらにEVの生産拠点でもあった日産追浜工場の閉鎖。工場の売却や跡地での協業を視野に複数のパートナーと協議を進めていることも明らかになった。その一社が台湾の電機大手、鴻海精密工業。EVの受託生産を手がける鴻海は今年4月、日本市場にEVを供給していくと発表。その生産拠点として、追浜工場に目をつけた。関係者によると日産は5月頃から追浜工場のEV分野での協業や売却について、鴻海と協議を開始。テストコースなどを除いた土地や建物生産設備に加え、一部の雇用を鴻海側が引き受けることなどを検討していた。しかし先月、鴻海が買収を断念し交渉を終了させた。こうした動きについて、日産は追浜工場の将来については複数の可能性のあるシナリオについて外部との協議を行っていると回答。鴻海との関係については言及しなかった。
厚生労働省の発表した毎月勤労統計によると物価変動の影響を除いた8月の実質賃金は1年前より1.4%減少した。マイナスは8か月連続。名目賃金に当たる現金給与総額は1.5%増え30万517円と44か月連続で伸びているがこうした賃金の増加を物価の上昇が上回る状態が続いている。
パレスチナ自治区ガザの和平計画をめぐりイスラエルとイスラム組織ハマスは8日、エジプトで間接交渉に入った。エジプトの政府系メディアによると、アメリカのウィトコフ中東担当特使なども加わっているという。和平案ではハマスが拘束中の人質を解放することを引き換えにイスラエルが収監するパレスチナ人を釈放することが盛り込まれているが、ハマスは8日、イスラエル側に名簿を示したと発表した。交渉にはカタールから、ムハンマド首相兼外相が協議に参加するため現地入りしたとも報じられていて交渉の加速に向け、仲介国の関与も本格化している。
EUは7日、輸入する鉄鋼に課す関税を現行の25%から50%に引き上げる方針を発表した。また輸入する鉄鋼のうち、関税がかからない枠については2024年と比べて半減させる。50%の関税はアメリカと同じ水準で、関税率を引き上げることで安価な中国産の流入を阻止し、低迷するヨーロッパの鉄鋼産業の立て直しを図る。
アメリカのトランプ大統領は7日、予算切れに伴う政府機関の一部閉鎖が続いていることについて野党民主党に対し、旧日本軍の神風特攻隊になぞらえ非難した。トランプ政権は、こうした状況が続けば、数千人規模の正規職員を解雇するとしているがアメリカメディアによると新たにデータで一時休職となっている職員の給与の未払い分を支払わないことも検討している。
ファミリーマートが今年3月から8月までの決算は本業のもうけを示す事業利益が1年前と比べ19%増の616億円だったと発表した。この期間としては3年連続で過去最高となる。
電機大手の三菱電機は話した言葉を翻訳し、指でなぞった場所に表示する新たなサービス「メルブリッジ しゃべり描き翻訳」を発表した。工場などで働く外国人の従業員との円滑なコミュニケーションを実現するためのシステムだ。これまでは作業の指導やルールを説明する際通訳や相手の国の言葉を話せる従業員に頼るなどの対応が必要だった。しかし、専門用語の多い生産現場では作業の遅れやミスが起こることもあった。外国人労働者の数は年々、増加傾向で特にベトナム、中国、フィリピンなどからの人材が増えている。松原勉マネージャーは「観光や医療介護、教育、あらゆる分野に展開していきたい」と話していた。
大阪関西万博で披露されたPerfumeの3D映像。会場から離れた場所でのパフォーマンスをリアルタイムで映し出したもので、ここにはNTTの次世代通信基盤「IOWN」の技術が活用されている。今日、このIOWNを使った未来のトレーニングが初公開された。竹崎キャスターが体験したのは遠隔地からリハビリやトレーニングの指導を受けられる装置。両手にデバイスを持って画面越しにインストラクターとやり取りする。離れた場所にいるインストラクターが手本となる動きをすると、竹崎キャスターが手に持つデバイスが特殊な振動をして同じ動きをするよう誘導する。このシステムの最大の特徴は映像の遅延がほとんどないこと。可能にしているのがNTTが研究開発を進める「IOWN」の技術だ。
IOWNとは光技術を軸とした次世代の通信基盤。現在のインターネットより消費電力を抑えながら高速で遅延しにくいデータ通信を実現する。隣に設置された通常の通信を使ったモニターを見ると、映像は数秒遅れて表示される。音声やデバイスの動きに関するデータと比べて映像のデータ容量が大きいためこれまでの通信方法だと映像が遅れて届いてしまう。今回の未来のリハビリトレーニングではIOWNを活用することで遅延が従来の200分の1に抑えられほとんどタイムラグがなく通信が可能になる。現在は主にデータセンターの分散やパートナー企業との協業で利用されているがNTTグループは今後、様々な分野に活用を広げたい考えだ。今日、体験したサービスは村田製作所の子会社と組んで開発されたという。福祉の現場の人手不足解消にもつながることが期待される。
今回取材したのは未利用熱を電気に変える謎の金属。物質材料の研究を行う国の施設「NIMS」は工場やデータセンターなどで排出される活用されていない熱を電気に変える研究を進めている。長年にわたり科学者が追い求めている技術だ。グループリーダーを務める内田健一氏がこの研究を始めたのは大学生のころ。磁石の性質を持つ物体に温度差をつけることで磁気の流れが生じることを世界で初めて発見。論文に掲載され、当時話題になった。その内田さんが開発したのが一見、何の特徴もないような金属。アクリル板の上に置き、持ち上げると下に敷かれていた砂鉄がびっしりとアクリル板にくっついた。この磁力が最大のポイントだ。
これまで熱を電気に変換する際に使われてきた機器は半導体の上下で温度に差ができると熱の流れが生まれその流れと平行に電気が流れる。従来の方法では、熱を電気に変えるためには半導体や電力などが必要で、構造が複雑なのが課題だった。そこで内田さんは熱を電気に変える磁石を開発。温度差ができた場合熱の流れに対して電気が平行ではなく垂直に流れる性質がある。この性質を用いることで電極などの部品がなくても発電が可能になる。内田さんが開発した磁石にも独自の技術が組み込まれている。使われているのはレアメタルと呼ばれる希少金属。磁力を持つコバルトやサマリウムなど5つの金属。特殊な機械で加工することでレアメタルが何層にも重なり磁力を持った合金へと生まれ変わる。内田さんは2028年までに実用化レベルに改良することを目指すという。
ソフトバンクグループはスイスで産業用ロボットなどを手がけるABBからロボット事業を買収すると発表した。買収額はおよそ8000億円で来年に買収を完了する予定で、AIを活用したロボット事業の推進を狙う。孫正義会長兼社長は「ソフトバンクグループの次のフロンティアはフィジカルAIだ。人類の未来を切り開く画期的な進化を実現していく」と強調した。