2025年11月21日放送 23:00 - 0:04 テレビ東京

ワールドビジネスサテライト
日中緊張レアアースが危機!?▽経済対策決定で国民生活どうなる

出演者
原田亮介 田中瞳 長部稀 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

(ニュース)
21兆円超の経済対策が決定 物価高支援 生活はどう変わる?

高市総理大臣は政権発足1か月で記者団の取材に応じ「日本が今行うべきことは、行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させるのではなく、積極財政により国力を強くすることだ」と述べた。政府は、この直前の臨時閣議で高市総理が掲げる強い経済の実現に向け総合経済対策を決定。減税を含めた経済対策の規模はおよそ21兆3000億円。経済対策には、地方自治体が柔軟に使える重点支援地方交付金を2兆円計上。いわゆる、おこめ券などの配布を通じた食料品の高騰対策に充て1人あたり3000円相当を支援する。また、電気ガス料金は来年1月から3月の3か月間に標準的な家庭で7000円程度を補助。さらに、子育て応援手当として子ども1人あたり2万円を給付、ガソリン代の負担軽減策も盛り込んだ。一方、きょう発売を開始した年末ジャンボ宝くじ。1等と前後賞合わせ10億円を狙い、売り場には朝から長蛇の列ができていた。宝くじに夢を託す人たちに、政府の物価高対策について聞いてみると「子育て」や「食料品特別枠」に注目していた。

地方交付金でポイント配布 使い道広がる?先行事例は…

経済対策で拡充を決めた重点支援地方交付金は既に存在する枠組みを広げる形のため、同じ交付金を利用し自治体での取り組みが始まっている事例もある。人口5万人の茨城県つくばみらい市が今月始めたのが19歳から64歳の市民に対し2500円分のポイントを付与する事業。マイナンバーなどと、ひもづけながら市の公式LINEアカウントを活用し、ポイント受け取りの申請ができる。そして受け取ったポイントはキャッシュレス決済サービスに変えられる。17日から申請が始まり、今日で5日目。ポイントを受け取った人も出始めた中、街の人から「PayPayなどに変えられるのはおこめ券よりは便利」「正直中途半端な額」とコメント。この取り組みの効果について小田川市長は「職員の手間を省くことができた」と話していた。市は従来から、物価高騰対策で国から交付されていた重点支援地方交付金の1億2000万円を全てこのポイント配布などの取り組みに充てている。今回の経済対策で、この重点支援地方交付金が拡充されるため更なるポイントの額を増やす可能性も視野に入っている。

高市政権1カ月 株価は乱高下 財政拡大の裏で 債券市場も

高市政権が決めた大規模な経済対策の影響で債券市場は大きく動いている。財政拡大への懸念を反映し長期金利の指標となる10年物国債の利回りは、昨日およそ17年半ぶりに一時1.835%まで急騰した。さらに株式市場は、高市政権発足からの1か月で乱高下している当初、新政権の経済政策への期待から株価は上昇し先月末には日経平均株価は史上初の5万2000円台に到達した。しかし最近はAI、半導体銘柄の過熱感への警戒や日中関係の悪化などを背景に5万円を割り込む展開となっている。さらに、金融緩和を重視する高市政権が生まれ、急変したのは外国為替市場。ドル円相場は自民党総裁就任から今日までに10円近く円安ドル高が進み昨日およそ10か月ぶりに一時157円台後半をつけた。今日、片山財務大臣は急速な円安に対して為替介入も排除しない考えを強調した。激しい動きを見せる日本のマーケット。マクロ経済に詳しいエコノミストは、大規模な経済対策を出した今、市場との対話がより重要になると指摘する。

解説 “財政拡張” 際立つ経済対策 金利上昇と円安 軽視禁物

原田亮介は高市政権の経済対策について「税収増が追い風になって規模が膨らんだが、ガソリン税の暫定税率廃止というような恒久的な財政負担が生じるものについて、財源が決まってない。「責任ある積極財政」というが市場から見ると、長期金利の上昇、円安が進むということで「単なる積極財政ではないか」という疑念が抱かれている」と指摘した。

高市総理G20へ出発 首相と対話機会探る

高市総理大臣は南アフリカのヨハネスブルグで開かれるG20首脳会議に出席するため今日午後、羽田空港を出発、G20に出発前に中国との間で戦略的互恵関係の推進を強調した。一方、中国政府は高市総理の台湾有事を巡る国会答弁に対抗姿勢を取り続けている。今日の会見でも「直ちに誤った言論を撤回し、中国との約束を実際の行動に移すべき」と主張。日中関係が緊迫する中、高市総理は南アフリカ滞在中に中国の李強首相との対話の機会を探るとみられる。今回のG20では、国際情勢や世界経済などのテーマに加えて議長国の南アフリカが優先課題に掲げる災害への対応強化や低所得国の持続的な債務返済などをめぐり各国が議論する。また、会議には関係が急速に悪化する中国の李強首相も出席する見通しで高市総理は現地滞在中に対話の糸口を探りたい考えだ。ただ中国側は高市総理との会談の予定はないと重ねて否定するなど、あくまで応じない構えで日中首脳間の立ち話だけでも行えるかが注目されている。

柏崎刈羽 再稼働容認を表明 東電原発 福島事故以降で初

今日のエネルギー政策をめぐって、新潟県で2つの大きな動きがあった。午後4時、臨時の記者会見を開いた新潟県の花角知事は東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を容認すると表明した。再稼働に必要な地元での手続きは年内に完了する見通しし、再稼働した場合、東京電力の原発としては2011年の福島第一原発の事故以降、初めての事例となる。政府は、再稼働への理解を得るために8月に財政支援の対象となる自治体の範囲を原発の半径10kmから30kmに広げる方針を公表。推進の立場をとる背景にあるのが脱炭素の動きや国内で作る安定したエネルギーへの需要だ。

水素パーク 国内初の実証開始 地産地消がエネルギー安保のカギ?

今日、同じ新潟県内でもう一つ脱炭素と国産エネルギーに関わる動きがあった。エネルギー開発のINPEXが柏崎水素パークの開所式を実施した。CO2の排出が実質ゼロの水素とアンモニアを製造し発電を行う実証事業だという。具体的にはINPEXが持つ近隣のガス田の天然ガスを原料に水素を製造しその水素で発電をする。発電以外にも窒素を加えればアンモニアとして販売もできる。水素を作る過程で発生するCO2を地下に回収する技術を採用したため、排出は実質ゼロ。こうした水素はブルー水素、アンモニアはブルーアンモニアと呼ばれる。この施設で作った電力は、市内に供給する計画でおよそ2000世帯分の電力を賄える。原料となるガスの調達から水素の製造と供給。さらにCO2の地中への回収まで一気に取り組む。国内初の地産地消事業の意義について担当者は「国産天然ガスの開発やクリーンエネルギーの製造を通じ、日本のエネルギーセキュリティに貢献したい」と話していた。

WBS Quick
アサヒ来年2月出荷復旧へ

アサヒグループホールディングスでは身代金要求型のウイルス(ランサムウェア)によるサイバー攻撃を受け9月から大規模なシステム障害が発生している。きょうの会見では来年2月にも、商品の受注などのシステムを通常の状態に戻す方針だが、発生から復旧まで4か月以上かかることになる。

台湾 日本食品の規制撤廃

台湾政府は今日東京電力福島第一原発の事故後に導入した日本産食品の輸入規制を撤廃すると発表した。これによって産地証明書や放射性物質の検査報告書が必要なくなる。中国が日本産水産物の輸入手続きを停止したのとは対照的に台湾は日本産品の消費で、高市政権を支援する姿勢を示している。

10月全国物価↑3.0%

総務省が発表した10月の全国消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数が112.1で1年前と比べて3.0%上昇した。伸び率は2か月連続で拡大している。10月は価格を改定する動きが相次ぎ幅広い食料品が値上がりしていて特にコーヒー豆が53.4%コメ類が40.2%と大幅に上昇した。

NATO非加盟法制化要求

アメリカがロシアと策定したウクライナ和平案にウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟しないと憲法に明記することが盛り込まれたことが20日、明らかになった。イギリスのフィナンシャルタイムズによるとアメリカ側はウクライナに27日までに合意するよう求めているがウクライナは対案の提示を検討しているという。

ラピダスに1000億円出資

経済産業省は今日、政府の出資や融資などを可能にする制度の支援先として、次世代半導体の量産を目指すラピダスを選定したと発表した。今年度内に独立行政法人IPAを通じ1000億円を出資する。

The 追跡
1週間の“経済”ニュース

17日(月)。横浜市は日産スタジアムの命名権について日産自動車と5年間、総額6億5000万円での契約更新に合意したことを明らかにした。横浜市の山中市長は「日産の事情や命名権の財産価値を踏まえて協議した。大変よい結果になった」としている。

18日(火)。10月の訪日外国人数は前の年から17.6%増加し10月としては過去最多となった。中国からの客は前の年から22%以上増加し、およそ71万人と国地域別では韓国に次いで2位となった。

19日(水)。広島県産の養殖カキが大量死する被害が発生した問題で鈴木農林水産大臣は東広島市のカキ養殖場を視察した。海水温の上昇によるものなのか原因はわかっていないが、鈴木大臣は原因究明や経営支援を検討する考えを示した。

15日(土)、中国外務省が国民に日本訪問を控えるように注意喚起したことを受け、中国の大手航空会社は日本行き航空券のキャンセルや変更に無料で応じると発表した。中国国営テレビは、日本行き航空券のキャンセルは54万件を超えていると報じている。

観光地・飛騨 外国人客の多角化

緊張が続く日中関係だが、観光やビジネスの現場では中国に依存した現状について見直しを考える声が高まりつつある。今週18日。小野田経済安全保障担当大臣が会見で中国への依存がリスクだと発言した。日本は中国に頼らずに、経済を回すことはできるのだろうか。城下町の情緒を残す古い町並みが魅力の岐阜県高山市。目立つのはヨーロッパや北米などから来ている人々。観光案内所を運営する団体の山腰さんは中国との関係悪化による影響について「致命的なダメージを受けないよう意識している」とコメントしていた。実は高山市はさまざまな国から観光客を受け入れる取り組みを強化している。観光案内所にいるスタッフの中にはイタリア人が勤務しており、11か国の言語に対応した地図を用意。さらにYouTubeでは、英語圏の観光客に向けて美しい映像を発信している。地元の企業とも連携し、3つのスーパーでは、動物性の食材を使わないビーガン弁当を10月から販売している。去年、高山市に来た外国人を見るとヨーロッパは23%でアメリカは6%、中国は8%となっている。日本全体で見ると、中国からの観光客は19%となっていて中国に頼らない観光地作りが進んでいる。

国産化へ 南鳥島のレアアース

日本への威圧を強める中国政府は19日、日本産水産物の輸入を事実上停止した。今後、懸念されるのが中国から日本に輸出されているレアアースへの制限。レアアースはネオジムなどの希少な元素を指し産業のビタミンとも呼ばれていてEV車のモーターやスマートフォンの部品など、さまざまなハイテク製品に使われている。日本は、その大半を海外からの輸入に頼っていて最も多い中国が6割を占める。もし中国が日本への輸出に制限をかければ日本にとって深刻な問題だ。そんな中、レアアースの国産化に向けて取り組んでいるのが国の研究機関JAMSTEC。政府主導のプロジェクトを統括する内閣府の石井正一さんが見せてくれたのはレアアースが含まれている泥。この泥がとれたのは、東京都心からおよそ1900キロ離れた南鳥島。水深4~6000mの海底にはレアメタルと呼ばれる希少金属だけでなくレアアースを豊富に含む泥や岩石があることがわかっているJAMSTECでは、来年1月にこの海域で、レアアース泥などを回収する計画だ。揚泥管という地層などを調査するパイプを使い海面下6000mにあるレアアース泥を吸い上げる。この方法で回収に成功すれば世界初となる。

レアアースをめぐっては日本は苦い経験を持っている。2010年、尖閣諸島沖の日本の領海で中国漁船による海上保安庁の巡視船への衝突事件が起き、その後、中国の日本へのレアアース輸出が突如滞る事態となった。2か月で解消したものの多くの日本企業に影響がおよんだ。中国との外交問題に翻弄される日本。進むべき道について内閣府の石井正一さんは「日本がレアアースについて独自の分離精製技術を作れるかどうかだ」とコメントした。

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