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- 田中瞳 後藤達也 長部稀
長期金利の上昇について、先週までは財政不安が上昇要因で、今週は日銀の利上げ観測が強まったことが大きな要因となっている。後藤達也は「月曜日に植田総裁が利上げを示唆し、政府からの牽制も特に出ていない。2週間後の会合では0.5%から0.75%へ金利を上げる可能性が高くなっている。金融緩和度合いを探る数字として見られる実質金利は今でも大幅なマイナスで、黒田日銀の頃と比べても低い状況。また利上げをすると、円安にある程度歯止めをかけることが期待されている。住宅ローンや企業の借り入れは上がるが、一方で預金金利が上がりインフレを抑制する面もある」などと語った。
政府閉鎖の影響で公表が遅れていたアメリカの重要な物価指標であるPCE(個人消費支出物価指数)が発表され、9月は1年前と比べ2.8%の上昇となった。伸び率は市場予想と一致した。目安となる2%を超える水準が続いている。
アメリカ為替、金利、商品、株式の値動きを伝えた。
アメリカの今の景気について、後藤達也は「PCEの発表はインフレ圧力が根強かったという印象だが、それに加えて雇用に暗雲が漂っている。ADP雇用リポートをみると、コロナ直後以来のマイナスになっている。経済の鈍化がまずあるが、それに加えAIが初級職の仕事を代替し、新規採用の抑制が広がっている。またレストランでフルコースを注文しなくなるなど、節約が低所得者だけではなく中間所得層にも広がっている。来週には金融政策を決める会合があるが、利下げする可能性が高まっている」などとコメントした。
アメリカ中西部・オハイオ州の精肉店。店内には様々な商品が並んでいるが、ステーキ用の肉は1年前から約27%値上げした。牛肉の価格上昇が止まらず、ステーキ用の価格は2023年以降28%上昇した。これに悩まされているのがトランプ大統領で、世論調査では政権の物価高対策を「支持しない」と答えた人の割合は59%に上っている。価格を抑えるため、トランプ政権はアルゼンチン産牛肉の無関税の輸入枠を現在の4倍に増やすことを検討している。相互関税の対象からも牛肉を除外するなど、相次いで対策を打ち出している。オハイオ州で90頭の牛を育てる牧場主のクリストファー・ギブスさんは、牛肉の輸入拡大策に反発している。また関税によって農業機械の部品が値上がりし、経営を圧迫しているという。農村部は共和党のトランプ氏にとり有力な支持基盤だが、農家が苦境に陥れば来年の中間選挙で逆風になる。そこでトランプ氏は「多額の関税収入の一部を農家の支援に充てる」と打ち出した。アメリカの10月の関税収入は約330億ドル(約5兆円)で、1年前の4倍に増えた。しかし牧場主のギブスさんは「農家は中間選挙でもトランプ氏に従う議員に厳しい目を向ける」などと語った。
来週の注目ニュースについて。8日には11月の景気ウォッチャー調査が公表される。後藤達也は「高市政権になった後で、円安も進んでいる。景気の雰囲気が変わっているのかが確認できる」などと語った。10日にはアメリカのFOMCの結果が発表されるが、後藤は「利下げがほぼ確実視されており、焦点は年明け以降連続利下げがあるのかどうか、パウエル議長のスタンスを見ていくことになる。利下げの根本にあるのは景気の悪化なので、株安になる可能性もある」などとコメント。同じく10日に11月の企業物価指数が発表されることについて、後藤は「円安による値上げの影響が、小売の物価よりも先に出やすい傾向にある。今後の小売の価格転嫁も見えてくるので、注目」などと語った。
エンディング映像。
