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きょうの世界遺産はヴェネツィアとその潟。前編は海洋国家の栄華が息づく水の都を案内する。
ヴェネツィアの世界遺産登録エリアはラグーナと呼ばれる浅瀬の海全体。ヴェネツィア本島は東西に3.5キロ、南北に2キロほど。約5万人が暮らしている。本島を蛇行して流れる大運河カナル・グランデは水のメインストリート。カナル・グランデは最も広いところで幅約100メートある。両岸に並ぶ建物の多くは12世紀以降に建てられた商人や貴族たちの邸宅。リアルト橋はもともとは木製の橋だったが崩落や焼失を経て石造りの橋として再建されたのは16世紀。水路からは小運河が枝葉のように流れる。
ゴンドラは現在では観光を彩るヴェネツィアに欠かせない存在。小運河に囲まれた区画は小さな島で、ヴェネツィア本島は118の島でできている。6世紀、異民族から逃れた人々が湿地に家を建て新しい生活を始めた。人々は湿地に木の杭を打ち込み、その上に石の土台をのせ建物を建てた。海底の地中には酸素がほとんどないため木は腐りにくい。
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- ヴェネツィアとその潟ヴェネツィア本島
ヴェネツィアは文化遺産の登録基準6つ全てを満たす。まずは「人が作った景観」。海外との繋がりが生んだ海洋国家は独自の文明があった証だ。ドゥカーレ宮殿は15世紀ごろ改築されたヴェネツィアゴシック様式の傑作だ。9世紀に創建されたサン・マルコ寺院はビザンツ帝国の文化がヴェネツィアに取り入れられた時代の代表的な建物。キリストのモザイク画は東西の文化の交流が産んだ美の傑作。寺院の財源は海の交易によって生み出された。
7世紀の終わりに誕生したヴェネツィア共和国。交易路を広げ地中海貿易の覇権を掌握した。代表的な交易品の一つがヴェネツィア・ガラス。交易により良質な原材料がもたらされ、ヴェネツィアの職人の技が受け継がれてきた。その美しさはヨーロッパ中の貴族を魅了し共和国の繁栄を支えた。海外からは香辛料や香料などが運び込まれた。交易によってヴェネツィアは海洋国家として大いなる繁栄を遂げた。
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- リアルト橋ヴェネツィアとその潟
大航海時代の先駆けとなったマルコ・ポーロはヴェネツィアの商人。ヴェネツィアはそうした歴史的出来事の舞台でもあることから世界遺産の登録基準「シンボル」としても認められている。
ヴェネツィアの商人たちがヨーロッパにもたらしたのはコーヒー。異国から伝えられたコーヒーは瞬く間にヨーロッパ中へと広がった。
ヴェネツィア共和国は15世紀の終わりに繁栄を極めた。ラグーナの木の杭はひときわ深い海の道を示している。海での戦いの時、この杭を抜いてしまえば敵の船は浅瀬に気づかず座礁する。ヴェネツィア共和国は沿岸各地を攻め、その領土を広げていった。16世紀、ヴェネツィア共和国を中心とする連合軍がオスマン帝国軍に勝利した。本島の東側には国営造船所アルセナーレがある。今はイタリア海軍の施設があるため一般の立ち入りは禁じられている。ここ大海原を支配した軍の船が次々と生み出されていった。造られていたのは主にガレー船。武器の製造もアルセナーレで行われていた。2000人の作業員が分業で船を創り、1日1隻を完成させたという。18世紀の終わり、ナポレオン率いるフランス軍の侵攻により1000年の歴史は終焉を迎えた。
「世界遺産」の次回予告。
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