- 出演者
- -
オープニング映像。
田中要次が今回やってきたのは東京渋谷にある山種美術館。日本画の豊富なコレクションを誇る。ここで現在犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―というネコ好きにはたまらない展覧会が開催中。歌川国芳の猫はまさしく100体の猫のあらゆる仕草が描かれる。其まま地口 猫飼好五十三疋は東海道五十三次をパロディ化したもの。他にもリアルな猫や美女と写ったものなど名作の作品が並ぶ。今日の作品は捕鶴圖。縦140センチ、幅70センチの水墨画。満月の夜に木枝にとまる一羽の鶴とそのしたに半纏を着た猫が集まる。猫は悪巧みの真っ最中で鶴を食べるため鍋も用意している。またその鶴を狙う二匹の猫とそれを指示する猫。木の枝にのぼる猫は今にも鶴に飛びかかる勢い。
ここで捕鶴圖の作者の山口晃が登場。まさに猫たちは先輩猫の指示で若い猫たちが鶴を狙いに向かっている様子だと語る。この絵は宴席でお題をもらって描いた席画で、猫と鶴というお題でわずか20分で仕上げたという。自分勝手なのに何故か憎めない、そんな猫の魅力が存分にとらえられている。
- キーワード
- 捕鶴圖
山口さんは群馬県桐生市で育った。東京藝術大学では油絵を選考していた。大学中に日本の大和絵に魅了され雲や霞を用いた空間構成を油絵の技法を使って表現した。代表作は成田国際空港 南ウイング盛況の圖はペンと水彩で描かれる。漂う金雲から覗くのは空港の建物の中で、この建物の中を観察する吹抜屋台は古典的な手法の一つ。しかしよくみると、そこは過去と現在、未来が混在した不思議な空間。ダクトから忍び込む忍者や武士がまたがる馬はバイク。運河にかかる太鼓橋も。山口さんは大和絵を浮世絵大和絵を浮世絵などの日本の伝統絵画に学んだ要素を巧みに取り入れて独自の作風に作り上げた。その山口さんと一緒に猫の名作をみていく。
歌川国芳のネコの作品を紹介。流行猫の曲鞠手まりは手まりをするネコがたくさん描かれる。また其まま地口 猫飼好五十三疋はネコの仕草は東海道の宿場町を表すダジャレになっている。東海道の始まりの日本橋はネコが鰹節を2本引っ張り出し2本出汁などと表現している。歌川国芳は猫好きでいつも猫を懐に入れて寿命を全うしたら戒名をつけてあげたいと言ったほど。一方でリアルな猫も描いていた。
美術史家の山下さんは犬と猫を比べると日本美術において描かれたり立体が作られる場合には犬の方が多いという。犬は古代の埴輪からも出土するが猫の絵が描かれるようになったのは平安時代になってからだという。古来、鼠よけとして重宝されていた猫は平安時代になりかの有名な鳥獣人物戯画にも登場する。
- キーワード
- 鳥獣人物戯画
その後ネコは貴族たちのペットになり、江戸時代には庶民の暮らしに溶け込んでいった。田中がやってきたのはとあるギャラリー。そこには看板ネコが。田中は付かず離れずなところが良いと答え、その宝石のような目も魅力だという。
竹内栖鳳の斑猫は沼津の八百屋の店先に見つけた飼い猫を譲ってもらい仕草を丹念に描いた。毛づくろいをしている最中にふとこちらを見つめた一瞬を切り取り、群青と緑青を用いた瞳の深淵に吸い込まれそうになる。毛並みの柔らかさは絹地をいかした滲みと、毛の一本一本を描く毛描きという手法で表現している。竹内栖鳳は明治期の京都画壇を牽引した日本画家。日本ではじめて実物のライオンを写生したことで知られ動物を描かせたら匂いまで描くと言われていた。
ここで山口さんに即興で田中がお題を出して絵を描いてもらうことに。田中のお題は「猫はエイリアン」。
田中が猫はエイリアンというお題を出し、山口さんは筆をとり即興でそのテーマに沿った絵を描いた。
生涯にわたりネコを描きつづけた藤田嗣治。Y婦人の肖像は安田題跋の一族の画家の安田の妻をモデルにした作品。20世紀のはじめに単身パリにわたった藤田は絶大な人気を誇る画家に。後に代名詞となる乳白色の肌の女性が大絶賛された。そして作品の多くに猫も描いた。藤田が惹かれたのは猫のもつある2面性。背景に金箔を使い、油絵に日本画を融合させた絵でも猫はお気に入りの4匹の猫を婦人と共演させた。婦人の背後に寄り添うように描かれた猫。その一方で、凛とした孤高の風格も描いた。猫の闘争心だけを描いた作品もある。
山口さんが田中からの猫はエイリアンというお題に挑戦。
山口さんが田中からの猫はエイリアンというお題に挑戦。猫ハ悦利餡という作品ができあがった。地球の猫が宇宙船に吸い上げられ、エイリアンに入れ替わる様子を表現した。
- キーワード
- 猫ハ悦利餡
「新美の巨人たち」の次回予告。
「スポーツ リアライブ」の番組宣伝。