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今回は内田有紀が上高地帝国ホテルの美に浸る。
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オープニング映像。
長野県上高地はかつては神の里で「神降地」と呼ばれた人跡未踏の地だった。雄大にそびえる穂高連峰や梓川はどこまでも清らか。昭和3年に国の名称及び天然記念物に指定され、はやくから自然保護に尽力してきた。そのためにマイカー規制がしかれ近隣の駐車場などからバスやタクシーでしかアクセスができない。そのために内田有紀も路線バスでこの地にやってきた。さわんどバスターミナルからおよそ10分で帝国ホテル前駅に到着。
上高地帝国ホテルは標高およそ1500m立つ日本初の山岳リゾートホテル。開業は昭和8年で幾度の改修工事を経て、現在は客室数は74、地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造。冬季は、積雪が2m近くにまでになるマイナス30度まで下がるために完全閉鎖になる。営業期間は4月下旬から11月下旬までとなっているが訪れる人が絶えない。その中を紹介。ロビーラウンジには上高地帝国ホテルのシンボルのマントルピースが。高さ5.1m、重さ650キロと銅製の円錐型暖炉となっている。ロビーラウンジの上にはバルコニー型の回廊がぐるり。その一部は開業当時と変わらぬデザイン。フロントは歳月に磨かれた光沢がなんとも美しい。
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上高地帝国ホテルの部屋を案内する。水くみ場があったが蛇口からはホテル近くの六百山から出た天然水が出てくる。内田は味の感想に美味しいと答えた。ホテルには目立たないが椅子や鏡にささやかなアートが散りばめられている。
客室へ移動したが屋根の傾斜をいかした山小屋風のつくりになっている。茶陶緑を基調とした、ほっこりとした佇まい。何気なく置かれた双眼鏡はバードウォッチング用。感動するのは、ベランダからの眺望。3000m級の山々が連なる穂高連峰は神々しいまでの稜線の最頂部には日本で3番目の高さの奥穂高岳が。さらに左には焼岳があり日本百名山に数えられる名峰。
上高地に何故日本初の山岳リゾートホテルが誕生したのか?現在では年間120万人の観光客が訪れる上高地だが、かつては猟師や林業の者しか立ち入らない秘境中の秘境だった。その山岳美が一般に知れ渡ったのは明治29年。槍ヶ岳や穂高連峰ななどを踏破した英国人宣教師のウォルター・ウェストンが書いた一冊の本にある。上高地を紹介し登山の楽しみを広めたウエストンは日本近代登山の父と呼ばれ、その功績をたたえて年に一度は祭典が開催される。昭和2年には、上高地が日本八景の渓谷部門に選ばれ知名度は全国区に。その5年後に当時長野県知事だった石垣倉治は上高地一体が国立公園2指定されるのを見据えてホテル建設を計画。たまたま長野に旅行中だった帝国ホテル会長の大倉喜七郎にその計画をもちかけた。設計を任されたのは高橋貞太郎。後に川奈ホテルや帝国ホテル本館などを手掛けるホテル建築のスペシャリスト。まず始めたのは世界の山を知ると登山家や著名人を集め意見を聞いた。これによりホテルの外観は、スイスの山小屋をイメージした形になり、登山者のニーズに答える乾燥室や食堂、ロッカー室などが計画された。最も注意を払ったのはホテルからの眺望に対し配慮がなされた。この立地こそが肝だった。
建物の角度を周囲の山並みとあわせて最高の眺望を目指した。しかし昭和8年から始まった工事は困難の連続で、時代は2年前に勃発した満州事変に端を発し、戦線が拡大。国家は後戻りできない戦争へと踏み込んでいった。これにより、政府の資金融資が2ヶ月も遅れ後期は大幅に削減。突貫工事を余儀なくされるが上高地の道は整備されておらず、建築資材の運搬すらままならない状態に。そこで池が突破口に。上高地帝国ホテルから45分ほど歩いた場所には大正池があり、およそ110年前の焼岳の噴火で梓川がせき止められ一夜にして誕生した。いくつかの枯れ木は当時の名残。船に建築資材を積み込んで大正池を水路として活用して陸路よりも早く現場に届けることができた。わずか4ヶ月の後期で日本初の山岳リゾートの上高地帝国ホテルが完成した。
そしてわずか4ヶ月の後期で日本初の山岳リゾートの上高地帝国ホテルが完成した。鮮やかな赤い色屋根の下の極上レストランで嗜好のフレンチが食べることができ、クラシカルな設えのバーでは、珠玉の一杯が楽しめる。上高地にはツキノワグマやニホンザル、ニホンカモシカなどの様々な動物が生息している。なので熊鈴はかかせない。
上高地を代表する景勝地の梓川にかかる河童橋。焼岳が夕陽に染まるとホテルでは儀式が始まる。その日の気温が15度以下の時は、夕方にマントルピースに火が付くが点火式と呼ばれている。静かな所作のなかに絵画のような美しさが。やがて夜の帳がおりる頃にベルの合図はとっておきのディナーの始まり。宿泊者しか利用できないダイニングルームで本格的なディナーをいただく。飛騨牛のフィレ肉にフォアグラをのせてトリュフ入りのソースで仕上げた一品。味の感想に内田はコクがすごく美味しいと答えた。薪に使用された楢材の香りが厳かな焚き火のぬくもりの中に。内田はこの光景にこれだけで至福に感じると語った。またバーでは上高地をイメージして作られたオリジナルカクテルが楽しめる。内田は味の感想に清々しい味と答えたが上高地の山ふんどというぶどうジュース、レモンジュースとザクロのシロップを使っているという。
上高地は不便だからこそ、贅沢に楽しめる。内田は読書をし、オルゴールを鳴らして時間を楽しんだ。曲はエーデルワイス。ホテルのいたるところにはエーデルワイスが刻まれている。スイス・アルプスの麓の街のクリンデルワルトと松本市は姉妹都市でその象徴とも言える花がエーデルワイス。真夜中のホテルではベルマンたちの仕事がある。
真夜中のホテルではベルマンたちがロビーの栗の木の床に水をまいている。栗の木は耐久性に優れているが、乾燥するとひび割れてしまう。ベルマンは、毎晩こうしてメンテナスをしているという。
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「新美の巨人たち」の次回予告。
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