2024年6月8日放送 22:00 - 22:30 テレビ東京

新美の巨人たち
ロマンスカーの原点!ブランクーシ「空間の鳥」×市川紗椰

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(オープニング)
今回は…

今回は去年引退した小田急ロマンスカー VSEを特集。

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小田急ロマンスカー VSE
オープニング

オープニング映像。

ロマンスカーの原点!ブランクーシ「空間の鳥」
まるで彫刻作品 小田急ロマンスカー VSEの美

今回は去年引退した小田急ロマンスカー VSEの車両基地にやってきたのは市川紗椰。小田急ロマンスカー VSE50000形は2005年から18年間運行した七代目の車両。小田急ロマンスカーを一躍人気ものにしたのが1957年に登場したロマンスカーSE 3000形。定番の赤い車体に丸く可愛らしいフォルム。代を重ねる事に洗練されていたロマンスカーだが、VSEの特徴はそれまでにない純白のボディ。シンプルを極めたデザインが特徴。小田急ロマンスカー VSEを設計した建築家の岡部憲明さんは独特のデザインのヒントはとある彫刻作品と語る。

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ロマンスカーSE(3000形)小田急ロマンスカー VSE
ブランクーシ×市川紗椰 20世紀彫刻の革命

アーティゾン美術館にやってきたがここにはあのロマンスカーに強く影響を与えた作品をみることができる。現在展覧会を開催中でその作品が展示されているがその作者はコンスタンティン・ブランクーシ。石膏で作られた恋人たちが接吻する姿を掘った作品やブロンズ製の頭部だけがごろりと横たわった眠れるミューズなどの作品がある。タイトルがなければ何を表現しているのかもわからない作品が多く、その形がもたらすものの本質。この表現はブランクーシ以前にはみられない表現だった。そしてロマンスカーの原点となった作品も。

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アーティゾン美術館コンスタンティン・ブランクーシブランクーシ 本質を象るミューズ小田急ロマンスカー VSE接吻洗練された若い女性眠れるミューズ空間の鳥若い男のトルソ2
ブランクーシ「空間の鳥」 ロマンスカーの原点

ロマンスカーの原点になったという作品は空間の鳥という作品。ブランクーシが40代後半から生涯にわたり作り続けたシリーズの一つ。縦に長く、高さは1m30センチほどで、ブロンズ製で横からみると柔らかに膨らむ曲線がある。上に向かうほど引っ張られるように細い。飛び立つ鳥のエネルギーを抽象的な形で作り上げたものだという。岡部さんと作品の出会いは50年前、フランス・パリで現代アートの殿堂「ポンピドゥー・センター」の建設に携わっていた頃のこと。そこにコレクションされていたブランクーシの空間の鳥を見て衝撃をうけたという。展示室に通い詰め何度もスケッチ。それがロマンスカーのデザインの元になったという。

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アーティゾン美術館コンスタンティン・ブランクーシパリ(フランス)ブランクーシ 本質を象るポンピドゥー・センター空間の鳥
ブランクーシ「空間の鳥」 “抽象彫刻”の誕生

ルネサンスの巨匠のミケランジェロのサン・ピエトロのピエタは彫刻とは人間の肉体を写し取りながらその器に精神性を表現する芸術だった。20世紀初頭、パリにやってきた28歳のブランクーシは、一人の天才に出会う。オーギュスト・ロダンは粘土を使って原型を作る主砲で圧倒的な写術表現を生み出していた。肉体と生命への深い洞察が作品の隅々にみなぎっている。ブランクーシはそのロダンの工房で働くチャンスを得るが一ヶ月でやめてしまった。試行錯誤しながら自分の表現を模索し始め、直彫りという直接石を刻んで原型を作る手法を用いて写術表現から離れていった。1910年には航空博覧会を開催。ライト兄弟が世界初の有人飛行に成功したがその博覧会でブランクーシの心をとらえたのは飛行機んプロペラ。飛ぶという機能を追及して生まれた形に虜に。翌年から鳥の作品を作り上げ、初期の作品には胸が膨らみ頭宅地橋などが会ったが徐々にその形は抽象的に。13年後にはついに独自の抽象彫刻にたどり着いた。空間の鳥は飛ぶという運動の本質そのもの形。その形にひかれた岡部さんは手掛けた関西国際空港 第1ターミナルビルに影響がみてとれる。地上からみるとまるで空間の鳥を寝かせたような姿に。

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ブランクーシ「空間の鳥」 ロマンスカーに深い影響

岡部さんが強い思いをのせて制作したのがロマンスカーVSE。車体が空気の中を水平に切り裂いて進んでいくようなオブジェとして作り上げたという。中でも車体を美しくみせるために重要なポイントはエッジが立っている点。空間の鳥の頭の部分は刃物で切断したような面が。この硬質な面が空間を切り裂き飛翔するイメージを表現している。ロマンスカーの断面をスパッと切り裂き、エッジを境に面に反射する光に変化が生まれる。さらに再度にも全車両を貫くエッジを入れて塊になって空間を移動する鉄道の本質を表現した。しかし空間の鳥はこれはアートなのか?と全米で議論が噴出し裁判まで勃発した。

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ブランクーシ「空間の鳥」 ×市川紗椰 これはアートか工業製品か

ブランクーシの空間の鳥は発表当時は大きな物議を醸した。独自にたどり着いた抽象彫刻で美術界から注目されるようになっていたブランクーシ。1926年に、ニューヨークでの個展が決まり、空間の鳥をパリから船便で送った際に積荷をみた税関が待ったをかけ、アートではなくなにかの器具ではと判断された。当時芸術作品は無税だったが、工業製品とみなされ関税が課せれられた。パリでその知らせを聞いたブランクーシは猛然と反発。アメリカ政府を訴える手段にでた。芸術か工業製品か、実際に行われた裁判では被告となった税関は弁護人を立ててブランクーシに反感を抱く芸術家を証言台にたたせ、ブランクーシ側が連れてきた弁護士証言台に立った。過去の判例では彫刻作品の定義は対象物と似ていることだったが、その焦点は対象物と似ているかどうか。芸術とはなにか?を問いかけることになった法廷だったが写術的な表現こそがアートだと多くの人が思い込んでいた。裁判は一年以上も続いた。

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ブランクーシ「空間の鳥」 芸術の新たなカタチ

ブランクーシの空間の鳥は芸術か工業製品か争われた裁判では芸術作品と認められブランクーシが勝訴。しかし判決についてブランクーシは何も語っていないという。

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コンスタンティン・ブランクーシ空間の鳥
(エンディング)
次回予告

「新美の巨人たち」の次回予告。

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