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今回は美術家三島喜美代を特集。ゴミのアートを紹介。
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オープニング映像。
東京湾には昭和の時代に埋め立てられた沢山の人口の島がある。城南島にあるのはART FACTORY 城南島。三島喜美代の作品がいくつも展示されている。その入口には今日の作品の一つのWorks S-10が。スクラップそのものでひしゃげたドラム缶や鉄などが組み合わされている。雨ざらしで汚れて錆びてやがて朽ちていく。その中から成長植物も作品の一部。
三島喜美代は今年の6月に91歳でこの世を去った。沢山の驚くべき作品を残していった。その中の作品には一見ダンボールの箱に新聞紙が包まれた瓶が。さらに、空き缶がかごの中に放り込まれている作品も。セラミックでできている。やぶれた段ボールも、新聞しに包まれた瓶なども陶器。彩色され、文字が描かれ極めて精緻に作られている。割れるはずのなにものが取り扱い注意というユーモアが。
部屋の中央には、不穏な黒い塊の群れが。産業廃棄物のようなキューブが16個ある。火山灰やくず鉄などをFRPで固めて作ったもの。重そうに見えるが中は空洞。朽ち果てていくものの最終形態なのか、三島喜美代は、人間社会が生み出しながら隠されていくゴミという存在を膨大なエネルギーと情熱を傾け作り続けた。奥へと進めば新聞が積み重なったNewspaper 08という作品が。これらは本文ではなく、新聞紙の束をポリエステルで成形し、生地の一つ一つを転写して作った。世界中で生まれる膨大なニュース。それが、またたくまに捨てられていくという情報の墓場のような光景。壮大なスケールと、ユーモラスなアートを作り上げた三島喜美代。どんな人だったのか?
建築家の安藤忠雄さんは三島喜美代と50年以上の付き合いがあったという。安藤さんのアトリエには三島喜美代から贈られた巨大な絵画が飾られている。芸術のことしか話さない人で面白い人だと感じたという。
三島喜美代は大阪の十三で生まれた。そこには自宅兼アトリエが。1923年に生まれ両親は喫茶店を経営し、裕福な暮らしの中で自由奔放な女の子で育った。ままごと遊びには興味はなく踊りの稽古をすれば踊りを勝手に変えて叱られていた。一人で遊べると絵ばかり描いていたが将来は画家ではなく、医者になりたいと考えていた。顕微鏡で観察するのが好きである夢を膨らませていた。フラスコの中で人間を造ってみたい。しかしそれは医者に神への冒涜と言われその道を諦めた。女学校を卒業すると油絵に夢中になり、美術研究所で後に夫となる三島茂司と出会い結婚し絵の世界へと突き進んだ。しかし美術大学で学んだわけではない。
三島喜美代は30歳頃から変化し夫が読んでいた外国の雑誌や、新聞や広告をキャンバスに貼り付けるコラージュ作品を手掛けていく。やがて貼り付けるものが使い古しの衣服などどれも身の回りにあって見過ごされるものに変わっていった。夫にはゴミばかり作っていると言われたと話している。三島喜美代の中で革命が起きたのは1970年のこと。部屋の片隅に転がっていた新聞を見て割れる新聞があったら面白いと感じたという。新聞が割れると面白いと作ったのは陶で焼いた新聞紙。空き缶も沢山こしらえた。
三島喜美代の作品作りを紹介。粘土を薄く伸ばし、薄くしたいと考えシルクスクリーンにインクで転写する。水で濡らして薄くした粘土に貼り付け、空気が入らないように密着させ意図する形にするために、厚みのあるケント紙を裏打ちし粘土を丸めた形にし乾燥させる。乾燥後に窯にいれて焼き上げる。
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三島喜美代にとって、ゴミとはなんなのか?
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ART FACTORY 城南島には三島喜美代の段ボールの作品があるが元はゴミ。ゴミを高温で処理した時にできる溶融スラグの存在を知った三島喜美代。溶融スラグを段ボールの形にし、彩色を施した。
三島喜美代は戦中・戦後を生きたが、モノのない時代から消費は美徳という高度成長へと大量生産、大量消費、大量廃棄、膨大な情報という中で人々の暮らしは大きく変化していった。豊かさを求めれば求めるほど、増え続けていく捨てられてしまうものたちに三島喜美代はアートの可能性を見出していった。また三島喜美代の作品は年を経るごとに大きくなっていった。人に捨てられ邪魔にされ、厄介なものになり始末されていくこの世界に対して巨大な作品を作ることで挑んでいった。
瀬戸内海に浮かぶ青島にはあちこちにアートが点在する島だがここに三島喜美代の代表作がある。山深き道を進むと、そこに大きな三島喜美代のゴミかごの作品が。高さ450m×直径350mに巨大な広告チラシや新聞紙などが入った作品が。2005年に73歳で自ら陣頭指揮をとて作られた集大成の作品。
三島喜美代のゴミかごの作品は廃土を焼いた陶と溶融スラグを使用して作られている。その作品のタイトルはもうひとつの再生 2005-N。ごみとなって焼かれたものに再び命を与えた三島喜美代の代表作。
新美の巨人たちの次回予告。
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