2024年2月18日放送 10:05 - 10:50 NHK総合

明日をまもるナビ
(112)どう守る?あなたの町の消防団

出演者
塚原愛 金子貴俊 くわばたりえ(クワバタオハラ) 
(オープニング)
オープニング

消防団は様々な災害の初動対応を担う地域防災の要。その団員の不足が深刻になっている。一方で外国人・女性・学生など新たな人材の層が増えている。地域になくてはならない消防団の未来を考える。

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栃木県消防庁
(明日をまもるナビ)
地域を守る消防団とは?/消防団 担い手不足が深刻に

番組内容は公式ホームページでも公開している。今回のテーマはどう守る?あなたの町の消防団。消防団とは仕事を持つ市民などが災害の初動対応などにあたる市町村に置かれる消防機関。消防職員は常勤の一般職地方公務員、消防団員は非常勤の特別職地方公務員という立場。能登半島地震の被災地でも消防団が道路の応急対応、夜間のパトロール、避難所運営の支援など様々な活動をしている。輪島市消防団は初動対応として車庫のシャッターが開かず窓ガラスを壊して消防車を出した、道路寸断の中で消防車に乗って怪我人の搬送・避難誘導などを行った。と一方で消防団員数が年々減少している。今年度は76万人余で定数より約12万人不足。消防団員の減少に永田教授は「地域コミュニティーの人のつながりが希薄化している。消防団員が減り続けると大きな災害が起きた時に消防職員だけでは対応できない。消防団の存在は必要」と指摘。

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令和6年能登半島地震山吹英雄明日をまもるナビ ホームページ水口薫輪島市消防団関西大学
地元密着 いち早く町を救う消防団

約11万人が暮らす栃木・佐野市。31の分団がある佐野市消防団。約600人が活動。その力を見せた自然災害が5年前の台風19号。一級河川の秋山川が氾濫し、佐野市では甚大な浸水被害が出た。この地区に暮らし自動車部品メーカーに勤めながら消防団活動をしている三井広好さん。「今まで私も経験したことのない台風でした」と振り返る。雨が激しさを増した夕方。川の氾濫を警戒し、三井さんは仲間の団員と担当エリアの巡回に出発。その区域は秋山川の西側で堤防よりも低い場所もあるため一度氾濫すれば大きな被害が出ると懸念された。一時間後、川面から水が土手を超え道路に溢れ出していた。三井さんたちは避難の呼びかけを開始。他の地区でも浸水が次々に発生し、消防本部の応援はすぐに来ず。三井さんは特に避難が難しそうな人を中心に声をかけた。その1人が布施美代子さん。足が不自由なため家に留まろうと思っていたが、地元に暮らす三井さんから「危険だ」と告げられ、直ちに避難を決意。三井さんたちは自力で避難できない人をポンプ車に乗せてピストン輸送し近くの小学校まで運んだ。この雨で三井さんたち第5分団の担当エリアはほとんど水に浸かったが人的被害はなかった。地域防災に極めて重要な消防団員。しかし、佐野市では定数より約150人不足。そこで検討しているのが消防団の統廃合。各分団で団員が減っている今、いざというとき必要な人数が集まらず、出動まで時間がかかりがち。そこで例えば隣同士の団をいくつか統合する。地区ごとにある消防団の拠点も一箇所に集約。担当範囲を広げる代わりに一つの団に必要な人数を確保できる仕組み。しかし、住民から寄せられたのは強い懸念の声だった。不安や反対との回答は7割を超えた。山間部にある消防団の拠点。地元の町会長の須藤信夫さん。統廃合によって拠点が無くなることを不安に思っている。地区を通る幹線道路は少なく、地震などで寸断し孤立すれば、外から消防団に来てもらうことも難しいため。こうした住民の不安を受け止めながら市は消防団の存続のあり方を探ろうとしている。佐野市消防本部の根岸消防団係長は「消防団は地域防災の要。ありとあらゆる施策を推進して活性化を進めていく必要がある時期だ」と話した。

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消防団 全国に広がる団員不足/消防団の意外な歴史/消防団員になったら…

消防団の団員不足は全国的な問題になっていて、市町村ごとに定員確保に悩まされている。また定年制も廃止してしまい、死ぬまで消防団員という人も出ている。消防団員は古くは江戸時代に結成された町火消「いろは四十八組」で、その後明治・昭和と名前を変えながら現代まで続いた。昭和40年頃までは消防署のない地域も多く、消防団の方が主流だった。消防団は18歳以上の健康な人であれば誰でも入ることができ、市町村から報酬も支払われる。

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消防団のやりがいとは?

東京・奥多摩町は地域の消防署が1か所しかないため、消防団の期待が高い地域として知られている。奥多摩町職員の森田宏樹さんは消防団歴20年以上のベテランで、奥多摩町で生まれ育った森田さんにとって消防団は幼い頃から身近な存在だったという。森田さんは入団後に消火技術などを競う操法大会で競い合い、野球部で培った足の速さを活かして活躍した。

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静岡県・焼津市の消防団員 石川幸子さんは高齢者施設で働きながらドローンで被害状況を確認する取り組みを行っている。この他候補活動や高齢者宅への防火訪問なども行っていて、施設での応急救命処置など消防団で学んだことが多く活かせるという。

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東京・奥多摩町の消防団では募集活動に注力していて、勧誘の結果保育士で父が消防団長の井上七星さんが入団した。この他声掛けによって女性7人と男性10人が入団した。

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”助け合い” 文化を受け継ぐ消防団

金子貴俊は自身も幼い頃近所のおじちゃん等に遊んでもらって地域に育ててもらったという記憶がある等と話した。

消防団で学べる”防災テク”

消防団では教材で防災知識を学ぶことができて、一例として洗濯のポール2本と布団で応急担架が出来ると紹介。布団を重ねることで摩擦が生じ、人が乗ることで体重で安定するという。

”ここがイヤだよ消防団” SNSの声

消防団が敬遠される理由についてSNSでは目的不明な訓練があり、消防団では定期的に操法大会が開かれて技術が競われるが、競技として発展したことで美しい所作が評価基準になってしまっているという。また飲み会への強制参加や報酬の流用・着服も理由としてあげられている。

「これだけでいい」」 消防団の”機能別団員”

一般的な消防団員は機器の捕手から訓練・災害対応・子どもへの指導を全て担うが、一部の仕事だけを担う機能別団員や分団を2005年から設けて去年で3万4000人在籍している。夜に火の用心等を呼びかけるジュニア消防団は全国に4300あり、子どもたちは防災の知識を学んでいる。引率する大人は機能別分団の1つのジュニア消防団指導班であり、子どもたちの指導だけを行う分団である。京都市消防団には他にも予防広報班や応急救護班等の機能別分団があり、一般の団員と違い急な呼び出しがないため負担なく入ることが出来るという。機能別団員ができたことで一般の団員の負担も軽減され、一般の団員の増加も期待されている他、機能別団員から一般の団員になる例もある。機甲班は災害時に障害物や瓦礫の撤去に用いる重機を操縦できるエキスパートで、日頃から重機を扱う建設業者等京都市では42事業所116人が登録している。

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「これだけでいい」」 消防団の”機能別団員”/消防団の担い手不足 対策のカギは

金子さんは「僕が思っていた消防団のイメージはすべてやらなきゃいけないというもの。でも自分なりの関わり方ができるんだなって思うと、もしかして自分もできることがあるかもという希望につながる」などとコメント。そんな消防団がこれから大事にすべきことは「活動の効率化」。そのための1つが「Fire Chief」というアプリ。火災が起きた場合、それを携帯電話で確認した団員が出動できるかどうかを返答できるという。もう1つのポイントは「新たな防災文化を」。ドイツの青少年消防団では大人の消防団員が教えてくれる。ドイツは消防団に力を入れたことで、人口は日本より少ないものの消防団員数は101万4155人と日本より25万人以上多くなっている。

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Fire Chief
どう守る? あなたの町の消防団

消防団について、くわばたさんは「今は無理でも子どもが高校以上になったら、自分のできることをやってみようかなって思えた」などとコメント。金子さんは「学びもあると思うし、消防団に入ることも楽しいという認識をどれだけ多くの人が持てるかが大事」と話した。

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令和6年能登半島地震
(エンディング)
減災古文書研究会

減災古文書研究会は昔の災害をすごろくで知るイベントを開催。このすごろくは津波や火災を伝える瓦版で出来ている。黒い三角の印に止まると1回休み。

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