- 出演者
- 水野倫之
オープニング映像が流れた。
先月打ち上げられたH3ロケット8号機は補助ロケットや第1段は予定通り分離したが第2段が早く停止し打ち上げ失敗となった。「みちびき5号」はその後大気圏に再突入し燃え尽きたとみられている。H3は去年引退したH2Aの後継としてJAXAと三菱重工業が共同開発し、打ち上げコストを大幅に下げることで政府衛生の打ち上げだけでなく世界の衛生打ち上げビジネスへの参入を目指す大型の基幹ロケットである。3年前の初号機は失敗したがそれ以降は5回連続で成功し軌道に乗り始めたかにみえた矢先、再び失敗となった。日本のもう1つの基幹ロケットである小型のイプシロンも3年前の失敗以降試験で爆発が続き、打ち上げの目処は立っていない。先月にはイプシロンの利用を予定していた小型の衛星を米の民間ロケットに依頼して打ち上げざるを得なかった。日本の宇宙開発は打ち上げ可能なロケットが現状なく、ビジネス参入どころか自律的な活動に支障が出る危機的な状況になって関係者は大きな衝撃を受けている。H3の失敗の原因は3分45秒後にカバー分離したときに異常が発生し通常よりも大きな衝撃が確認されたという。カバーの分離試験の取材の様子も流れていった。この時は火薬の大きな音とともにV字状に開き問題はなかったが、今回はカバー分離と同時に第2段のタンク圧が低下しエンジンが早く停止した。またカバー分離後は一部が変形していることが確認され、その後の画像には宇宙空間に何かが飛び散っている様子も確認できた。そのため当面はカバー分離時に何が起きたかが焦点となり、予断を持つことなく異常の洗い出しをしていくこととなる。
失敗の影響は日本の宇宙利用計画と衛星打ち上げビジネスへの参入ともに大きな影響が予想される。今回失われたみちびき5号はアメリカのGPSの測位を補強しスマホ・カーナビの位置情報の誤差を縮める役割をしてきたが、現状の5機体制にあと2機の7機体制ではみちびきだけで測位可能となる計画でビジネス展開が期待されていた。しかしその実現は相当遅れ、ビジネスへの影響が予想される。またH3では来年度だけでも火星の衛生から砂を持ち帰る探査機や情報収集衛星など少なくとも5回の打ち上げが計画されているが、大幅な見直しも予想される。そしてより手痛いのが世界の衛星打ち上げビジネスへの参入でH2Aは失敗は1回のみで成功率98%を誇ったが打ち上げコストが100億円と高く商業打ち上げは5回に留まり、ビジネスはうまくいかなかった。これを教訓にH3は衛生部品を多く使うなどしてコストをH2Aの半額の50億円にすることを目指して改良が進められてきたが、初号機が失敗するなど出遅れた。この間に世界の衛星打ち上げ市場はアメリカのイーロン・マスク氏のスペースXによる一強体制が築かれた。近年世界では重さ数百キロ以下の小型衛星を多数打ち上げて、通信を行うサービスなどが急拡大し日本でも複数のベンチャーが小型衛星で通信や災害時の観測・宇宙のゴミの観測を行うなどビジネスの範囲を広げている。それに伴い世界のロケット打ち上げ回数も増え続け、2024年には253回成功と過去最多を更新している。中でもスペースXが133回と最多で一人勝ち状態となっている。これに対して出遅れた日本は5回に留まり世界との差が歴然となっていたところ、今回の失敗でその差がさらに拡大する結果となった。
この先はこの差を何としても縮めていかなければならないが、幸い衛星打ち上げ需要は多くありスペースXだけで打ち上げきれるわけではなく世界は今ロケット不足となっている。信頼回復ができれば日本にもチャンスはまだ残されているといえるわけで、失敗の影響を最小限にする対応が必要となる。そのためにも問題点をすべて洗い出し、早期の打ち上げ再開を目指さなければならない。技術面ではH3のシステム全体の総点検を行い、不具合の見落としがないか確認していくことが求められる。開発体制ではJAXA・三菱重工の組織や開発体制に問題がなかったかどうかまで掘り下げて洗い出しをしなければならない。その際に人が適正に配置されているかや開発に必要な資金が確保されているのかといった検証も必要となる。そして意思決定を早くし、こうした作業をスピーディーに進めることが求められる。スペースXも当初は失敗が相次ぎそれを乗り越えて今があるので、日本も慎重になりすぎて打ち上げビジネス参入が遅れるようでは意味がない。今回の失敗を糧に信頼性を揺るぎないものにし、今年の早い段階での再開につなげていけるかが今問われている。
エンディング映像が流れた。
