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オープニング映像。
アルミ電解コンデンサは大きな電流を必要とするパソコンのCPUのまわりに配置されている。コンデンサ無しではパソコンも自動車も動かない、電子機器にとって重要な電子部品だ。今回のガリバーはアルミ電解コンデンサから電気を出し入れするリード端子を製造している湖北工業。その世界シェアは約60%でトップ。湖北工業はもう一つ世界シェアトップの製品を持っている。海底ケーブルの中継器の重要部品、光の進行方向を整える光アイソレータの世界シェアは5割以上。2022年には経済産業省認定のグローバルニッチ企業100にも選ばれた。
湖北工業の年商は159億円、従業員数は1536人。海外6カ所に拠点を持つグローバル企業。主な事業はアルミ電解コンデンサ用リード端子と光通信用部品の製造・販売。コンデンサから電気を出し入れするリード端子は内部の圧延部と外部のリード線部でそれぞれ違う金属が使われている。内部の圧延部は電気を通しやすいアルミ製で、外部のリード線部は基盤に固定するための強度を持つ鉄が使われている。湖北工業の月産は約50億個。異なる金属を瞬時に溶接する機会は自社で設計開発した。プレス工程ではアルミ線部分を平にする。その寸法は100分の1mm単位の精度が求められる。プレスに使う金型も自社で独自に設計開発した。溶接部に樹脂をコーティングすることでウィスカの脱落による電子回路の故障を防いでいる。
湖北工業の開発設計部門ではリード端子の溶接用の新装置の設計に取り組んでいる。現在の1秒間に5本という製造スピードをさらに速めて、同時に溶接部の品質をアップさせるという。レーザー溶接により製造速度を上げるだけでなく、より精密な溶接を目指している。室の高い製品をより高速で製造するノウハウを自社内に蓄積していることでトップシェアを維持している。データ通信の99%が世界中の海底に張り巡らされた光ファイバケーブルを経由している。その数十キロごとに置かれた中継器に使われる重要部品が光アイソレータ。光アイソレータは赤外線を一方向しか通さない。中継器で光を増幅する時に逆方向の光が生まれ、ノイズとなり光通信の品質を低下させる。光アイソレータにはノイズを生む逆方向の光をカットする役割がある。アイソレータに使う結晶は鉄やレアメタルなどから作る。結晶のクリーニングが人の手で行う。25年を超える長期の使用に耐えるため、組み立てには高度な溶接技術が使われている。
湖北工業の創業は1959年。当時から製造装置は自社開発だったという。石井太が社長に就任した2000年、コスト競争という面で厳しい時代に。コンデンサ用リード端子だけでは次の発展は築けないと、光部品事業に本格的に参入することを決断した。そして今、第3の事業に挑んでいる。湖北工業が開発した高純度石英ガラスは高い透過率を持っている。高純度石英ガラスは従来から塊をカットする加工が難しいという課題があった。金型を作って液体の石英を流し込む技術を開発した。
「他社がやらない、やれないような技術開発を推進して研究開発型の企業でどんどん成長していきたい」と石井社長は語った。
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知られざるガリバーの次回予告。