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オープニング映像。
兵庫県姫路市にある大和工業の工場は2社に分かれている他、世界7カ国に生産拠点を構えている。年商は1700億円、従業員数は1400人。鋼材の原料となるのが日本中から集められる鉄スクラップ。鉄を作る製法は2種類ある。原料が鉄鉱石の場合は高炉を使ってコークスと一緒に燃やして鉄にする。原料が鉄スクラップの場合、電気炉で溶かして鉄にすることが多い。電極を近づけ放電させ、さらに電流を強くすることで流れる電流の抵抗が熱に変わって3000℃にも達する。また、炉の中で天然ガスを燃焼させて全体を溶かす。比重差で不純物を除去し、鉄の純度を高めることで強度を上げる。高炉と違って電気炉はCO2の排出量が少ない。
大和工業では電気炉の排ガスでスクラップを加熱して溶けやすくすることで電気炉の放電時間を短縮することができる。大和工業はこの技術を日本でいち早く取り入れて国内トップレベルのエネルギー効率を実現している。1600℃の高温で溶けた鉄は加工しやすいサイズに成形され、次の工場で再び加熱される。圧延機で鉄にロールを当てながら伸ばしていく。鉄は冷める時に歪みが発生するため、矯正機でミリ単位で歪みを直す。ロールの組み替えによって様々なサイズを1ラインでできる。常に6万tの形鋼を保管して顧客のニーズに対応している。
たつの市にある緒方鉄工所では大和工業で作られた形鋼を加工して高層ビルや商業施設などの大型建造物の鉄骨を手がけている。正確な厚みや幅があるからこそ顧客が溶接をしっかり施すことができ、強い建材に仕上げられる。
大和工業は1944年に創立。当初は国鉄など鉄道のレールにまつわる用品の製作や修理を手がけていた。製鉄の需要が増える中、鋳鋼品の製造を始めた。1961年には40t電気炉を稼働さらに、H形鋼を作る大型の圧延工場も稼働させた。1987年、アメリカに進出。当時はアメリカとの貿易摩擦で、アメリカ最大の鉄鋼メーカー・ニューコアと大和工業が合弁会社を立ち上げた。大和工業は世界7カ国で事業を展開、形鋼生産能力は年間650万t。その9割を海外工場が占める。
大和工業が創立以来80年以上手がけているのが鉄道の分岐器。既存のレールを削って作るトングレールは先端部分がかなり薄く鋭くなっている。本線のレールと段差が出来ないよう密着することが求められ、その精度は±0.5mm。また、大和工業ではレールを枕木に固定するボルトも製作。今ではロボットによる自動化を進めて製作効率をアップしている。一方で人の手でしか作ることが出来ない製品もある。そこで行われているのが鋼板をバーナーによる加熱と水による冷却を何度も繰り返して曲面に仕上げていく「ぎょう鉄」と呼ばれる加工。この鉄板が使われるのは大型船の巨大な舵を支えるスタンフレーム。
「社会課題の解決に向けて一層の責任を果たしていくことが大切な役割」と小林社長は語った。
知られざるガリバーの次回予告。