2024年6月15日放送 11:25 - 11:54 NHK総合

首都圏情報 ネタドリ!
がん“在宅治療時代”不安や情報との上手な向き合い方は?

出演者
合原明子 若尾文彦 
(オープニング)
切実 がん治療 進歩の陰で悩みも 情報や不安とどう向き合う?

2人に1人がかかるといわれる病気、がん。治療法が進歩する陰で新たな悩みも出てきている。2年前に肺がんのステージ4と診断された男性。抗がん剤などによる治療が功を奏し自宅で療養生活を送っている。医療技術の進歩などにより通院での治療が一般的になってきた、がん。ところが今、在宅で治療を続ける人たちから悩みや不安を訴える声が相次いでいる。中には最先端の治療だと信じ大金を投じたにもかかわらず悔やみ続けている人も。国立がん研究センター・若尾文彦さんがスタジオゲスト。

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がん国立がん研究センター肺がん若尾文彦
オープニング

オープニング映像。

がん“在宅治療時代” 不安や情報との上手な向き合い方は?
切実 がん治療 進歩の陰で悩みも 情報や不安とどう向き合う?

入院して、がんを治療している人の数は年々減少。逆に通院して治療をしている人の数が増えていて今、自宅でがんと向き合う新たな時代に入ってきている。そうした中ますます難しくなっているのがあふれる情報との向き合い方。がんの患者を対象にした調査では「どの情報が信用できるか判断できない、分からない」と答えた人がおよそ6割に上っている。当事者の中には選択した治療法について深く後悔してしまうケースがあることも見えてきた。

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がん
後悔 がん治療 進歩の陰で “最先端の治療”と信じたけれど…

妹が子宮体がんで亡くなった女性。5年前、がんと診断された妹は子宮を摘出すれば完治が見込めるといわれたと話す一方、ためらいも感じているようだったという。子宮を温存する治療法を探していた妹は手術をすすめる家族と次第に距離を置くようになった。そして、診断から2年、手術を受けることなく亡くなった。女性は妹直筆の日記を見つけ、そこには、自宅での生活の様子が詳細につづられていた。女性が注目したのは「ヨウ素」という文字。妹はある液体を毎日8回欠かさず飲んでいた。調べてみるとある企業が海外の研究所と開発していると説明しているものだった。妹はLINEでつながった複数の人物からアドバイスを受けて購入していた。医師ではない人たちから日々の不安や食事、痛みの対処法までSNS上で助言を受け総額85万円を支払っていた。これはおかしいと強く感じたのは出血したという相談に対してがんアドバイザーを名乗る人物が返した「かなり良いですね。一気に治るかもしれませんね」という言葉だった。その後、妹は痛みに耐えられず病院を受診。がんが全身に転移していると告げられた。

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LINEヨウ素子宮体がん

今、がんの相談現場には自宅で治療と向き合う人たちからの悩みが数多くよせられている。約5000件超の相談が寄せられるマギーズ東京。不安を埋めようと検索を繰り返す中で、最先端に見えるがん治療に飛びついてしまうことが多いと言う。センター長の秋山正子さんは、心地よい誘いの文章にやっぱり迷いつつそちらへ行ってしまうなどと話す。

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がんマギーズ東京
後悔 がん治療 進歩の陰で 医師がすすめた治療法で…

医師がすすめる治療だからと信じてしまったことを悔やんでいるというケースも。6年前、同居していた母をがんで亡くした女性。初期のがんだと診断され家族で治療の方法を検討する中、独自の免疫治療を確立したとホームページでうたう医師のことを知った。手術を怖がっていた母親はこの治療にかける決断をした。処方箋として渡された書類をもとに免疫を高めるというサプリメントなどを2年にわたって購入。総額は350万円に達していた。医師からは血液検査の結果などをもとに治療の成果が出ていると説明を受けていた。治療を始めて1年余り。がんを克服した例としてサプリメントの販売を手がける企業の広報誌にも紹介された。その9か月後、痛みを訴えるようになった母親は家族と共にクリニックを訪れたがよくなっていると言われた。しかし、まもなく母の容体は急変。救急搬送された総合病院でがんの全身転移が判明した。女性は一連の資料をまとめ警察や厚生労働省に相談したが、思うような回答は得られなかった。

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がん厚生労働省
切実 がん“在宅治療時代” あふれる情報や不安とどう向き合う?

国立がん研究センター・若尾文彦さんがスタジオゲスト。総務省の調査によると毎日インターネットを利用する方が9割。60代でも8割、70代でも6割の方が使っている。医療が入院から外来に移って、自宅という医療者のいないところで不安を抱えながらネット検索に頼ってしまうという方がいることが大きな課題となっている。若尾医師によると一番最初に知ってもらいたいことは標準治療で、しっかりと科学的に有効性安全性が確認された一番いい治療法。厚労省が承認したうえで保険の適用になっている。それ以外の方法は臨床研究、治験、あるいは厚労省が進める先進医療。効果があるかなどを確認して効果があると確認されたものは標準治療になっていく。インターネットで治療法を検索する問にどのような点に気をつけたら良いのか、若尾さんが監修した架空のホームページで説明をする。本になっているから凄い治療だと思わないでいただきたいなど、注意点を説明した。医療の広告については今年、国もガイドラインを厳格化するなど対応を進めている。しかし、取材を進めると最悪の事態に至ったケースがあることも見えてきた。

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がん厚生労働省総務省
後悔 がん治療 進歩の陰で 再発を恐れた母が…

先月、がんの治療を終えた母親がみずから命を絶った40代の女性。8年前、母親は初期の乳がんと判明。手術は成功し、その後症状は落ち着いていた。一人暮らしだった母親はがんの再発を防ぎたいとさまざまな製品を購入していた。母親はがんに効果がある製品を開発しているなどと未公開株を販売した疑いで逮捕された企業の社長らにも総額1500万円を支払っていた。母親は支払った金額の返還と企業の幹部らの責任を問う裁判を起こした。社長などとは和解が成立したが、取締役に名を連ねていた医師は全く関与していないと争っていて裁判は続いている。みずからを責める発言が多くなった母親は先月、みずから命を絶った。

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乳がん
切実 がん“在宅治療時代” あふれる情報や不安とどう向き合う?

国立がん研究センターの若尾文彦さんは、患者さんの不安につけ込んで追い詰めていくようなビジネスが医療の名の下に行われている、悲しいですし憤りを感じるとしつつ、どうして患者さんがそちらに流れていったのかも改めて見直すことが必要、主治医が患者さんと話ができる関係性を作られているのか、気持ちに寄り添って支えていることが出来ているのか、などとコメントしていた。

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がん
模索 がん“在宅治療時代” ある医師が目指す“聴く”治療

川崎市立井田病院で腫瘍内科の部長を務めている医師の西智弘さんは、がんの専門医に加えて緩和ケアの医師や看護師、心理士などで構成されるサポートチームを編成。がんを治療するだけではなく不安や悩みにも向き合う体制づくりを進めてきた。問題意識の根底にあるのはがんの拠点病院や自由診療のクリニックなどさまざまな現場に身を置いた経験だという。サポートチームでは在宅でがんと向き合う人たちの支援にも力を入れている。悩みや不安を相談できる緩和ケア外来では他の病院で治療を受ける人にも開かれている。この日、訪れた夫婦は再発の不安から続けている自由診療での治療について相談した。さらにサポートチームでは地域の医療機関などと連携し在宅で治療を続ける人も支えている。2年前に肺がんのステージ4と診断された男性。長年、中学校で数学を教えてきたが今は、休職している。退院後も専門のスタッフから継続して支援を受けもう一度、教壇にのぼるという目標を持つようになった。治療法が進歩し、がんとつきあう時間が長くなっている今、医療の側にも変化が必要だと西さんは考えている。

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がん川崎市立井田病院肺がん
未来 がん“在宅治療時代” 医療は?患者は?

国立がん研究センター・若尾文彦医さんは、医療が従来の枠組みを超えて、より広い対応が求められているといい、社会も患者さんなどを含む様々な方と共生できる社会に変わっていかないといけないと思っている、などとコメントしていた。いざ患者になった時に思い出したい4つの「あ」を紹介。がん情報サービスサポートセンターは全国どこからも電話で相談できるなどと紹介した。

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がん情報サービスサポートセンター
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