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オープニング映像。
8月22日に開かれた緊急記者会見で7月30日に捕獲されたヒグマがOSO18であることを確認したと発表された。捕獲から3週間が経過していて、OSO18と認識されておらず死体も処分されていた。OSO18特別対策班のリーダーはその事実を入院中に知らされ、本体がないため検証ができないなどと話した。OSO18が出現したのは2019年の夏で、オソツベツでお産を控えた体重400キロの牛が殺されているのが発見された。牧場主が声をあげるとヒグマが飛び出した。現場に罠をしかけたところ再びヒグマが現れたが、罠に気づいているのか中には入らず揺さぶる仕草などを見せた。その後も被害は拡大し、ヒグマは夜に襲撃し朝には牛の死体だけが残されていた。ヒグマは本来植物食が中心で樹の実や山菜などを食べるよう進化してきたそう。2022年までに牛65頭が襲われ、31頭は瞬く間に殺されていた。12の現場で同じDNAを採取し、15の現場で幅18cmの足跡を発見したことから、最初の現場のオソツベツと足跡の幅からヒグマはOSO18と名付けられた。
2月、OSO18対策班のリーダーである藤本は11人のハンターを召集した。人間に危害を加えるおそれのあるヒグマは捕獲の対象になると定められているため、これまでにもハンターたちは行政から依頼を受けてヒグマを仕留めてきたそう。OSO18による被害範囲は2つの街にまたがり、東京23区3つ分に及んでいた。藤本はOSO18の行動パターンを特定し、冬眠から目覚める場所を上尾幌国有林の中だと推測した。森は野生動物の避難場所となっていて行く手には常にエゾシカがいたが、そこにはエゾシカが何者かに食い荒らされた跡も残されていた。
2023年6月、今年も牛が殺されたと藤本のもとへ連絡が入った。この日の朝に酪農家が沢へと下りる途中で横たわった牛を発見したそう。有刺鉄線に付着した体毛を分析するとOSO18のDNAと一致した。現場近くに真新しい足跡を発見したため、藤本は牛の死体を現場に残しておびき出す作戦を取ることにした。罠を設置してから3日後の夜10時すぎ、OSO18とみられるヒグマが現れた。しかし罠を回避して死体を持ち去り、この日を最後に二度と牛を襲うことはなかった。
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- OSO18上チャンベツ(北海道)
OSO18が撃たれた現場はオタクパウシで、これまでに現れた形跡がない場所だった。発見した際には牧草地に寝そべり、近づいても逃げる様子などはなかったそう。仕留めたのはヒグマを撃った経験のない役場職員のハンターで、当初仕留めたのがOSO18とは思わずにすぐに解体業者に持ち込んでしまったそう。OSO18対策班リーダーの藤本は写真でOSO18の死と向き合うことになったが、手が腫れていることに異変を感じ取っていた。
役場職員がOSO18を持ち込んだ解体業者によると、解体したOSO18の胃の中身は空っぽだったそう。また体毛が短く薄かったため、年をとったクマという印象だったそう。肉は売られ、骨や内蔵などの残りは産業廃棄物として処分するそうで、OSOはダンプカー3台分の堆肥に埋もれていた。
藤本は調査のためOSO18の射殺現場へと向かった。6月24日に牛を襲撃し、7月30日に射殺されるまでの間に何があったのかを調べると詳細な足取りがわかってきた。牛が襲われた日の朝、現場から2kmの地点でOSO18とみられるヒグマの目撃者がいた。翌日には南に8kmの地点でカメラに映っていたこともわかった。しかしOSO18は例年の行動圏を移動しながらも何故か牛を襲っていなかった。謎を解く手がかりが森に設置されたカメラに残されていた。カメラは子連れのメスグマの姿を捉えており、メスグマを求めたのか少なくとも6頭の大型のオスがOSO18の行動圏を徘徊していた。こうしたオスグマから逃れるためなのかOSO18は南へと移動していた。
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- OSO18
ヒグマ研究の権威である坪田教授は、OSO18は強いオスに本来の行動圏からはじき出される形で移動していた可能性があるなどと話した。またOSO18の牙を分析すると年齢が9歳6か月と判明したが、通常ヒグマは20歳近くまで生きるため年老いていたわけではなかったこともわかった。OSO18の無惨な最後の手がかりを求めて堆肥を調べると骨を発見することができた。骨の分析を研究者に依頼すると一般的なヒグマと比べて著しく肉食傾向が強いことがわかった。年齢ごとのデータからは4~8歳の間で常に肉を食べていたこともわかり、初めて牛を襲った5歳5ヶ月よりも前から日常的に肉を食べていた可能性が高いと判明した。専門家は草本に傾かずに肉食を続けるOSO18の行動はクマの進化から考えると異常なことなどと話した。また学習すると執着してしまい行動が変わる生き物であるため人の手によって野性味を奪われたのだとしたら非常に不幸なクマだったと思うなどと話した。
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- OSO18
OSO18の特別対策班のメンバーは人間が作り出した環境が変わっていないため、野放しにすれば第2第3のOSO18は必ず出てくると思っているなどと話した。実際に今年6月にはOSO18ではな いヒグマが牛の死体を食べる姿が記録されていた。9月、藤本はひとりOSO18が最後に歩んだルートを辿り、広大な鳥獣保護区を目指していたのではないかなどと話した。OSO18の捕獲が報じられると仕留めたハンターが務める役場に殺すべきではなかったなどといった抗議が30件寄せられた。一方OSO18の肉は日本各地に流通し、店で出すクマ肉がOSO18だと店主がSNSに投稿すると5万件のイイねが集まったそう。
エンディング映像。
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