2024年5月19日放送 21:00 - 21:50 NHK総合

NHKスペシャル
東洋医学を“科学”する〜鍼灸(しんきゅう)漢方薬の新たな世界

出演者
冨永愛 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

東洋医学を科学する 鍼灸・漢方薬の新たな世界

今、東洋医学が医療に新しい風を吹き込もうとしている。秋田大学医学部附属病院の集中治療室では肺炎の患者に鍼がついたシールを貼り、呼吸を楽にするツボを刺激していた。足の筋肉を損傷した患者には痛みを抑える作用がある漢方薬が処方された。東洋医学は世界でも注目されており、鍼灸に関する論文はこの20年で6倍以上になった。今回は東洋医学の新たな世界に迫る。

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東洋医学を科学する 鍼灸・漢方薬の新たな世界
冨永愛が体感 鍼灸・ツボの効果とは

冨永は鍼灸師の安野さんを訪ねた。安野さんは冨永の肩が硬いことを確認すると足首の近くにある三陰交にお灸をすえた。冨永は体全体が温かくなったと話した。今鍼灸の効果が世界で注目を集めている。南アフリカの医療施設ではイギリスや日本の鍼灸師たちがお灸のセリフケアの普及活動を行っている。患者たちは西洋医学だけでは良くならない不眠や倦怠感の改善を期待していた。

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鍼灸の最前線 ツボのメカニズムに迫る

メキシコの免疫学者のロサス教授は敗血症の治療に有効と足三里のツボに注目した。足三里は動物にも確認され、敗血症のマウスを使った実験では足三里に鍼で刺激を与えたマウスだけが生き残った。ロサス教授は足三里を鍼で刺激するとシグナルが脊髄から脳に到達し、多くの臓器に指令を伝える迷走神経に進むメカニズムを突き止めた。シグナルが届いた副腎はドーパミンを放出し、ドーパミンが暴走していた免疫に結合すると炎症物質の放出がストップする。

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鍼灸の最前線 ”心と体のつながり”に迫る

ハーバード大学では鍼灸に及ぼす効果やメカニズムの研究が行われている。コン准教授は慢性痛を改善する鍼治療のメカニズムを解き明かした。慢性痛になると脳に異変が起き痛みを過剰に感じるようになることがある。鍼治療が慢性腰痛の患者の脳に及ぼす効果を調べるため4週間の鍼治療を実施すると、痛みを抑えるPAGと呼ばれる部位を中心とする痛みを調節する機能が改善された。イギリスでは鍼灸がうつ病に使われるケースも広がっている。合谷や内関、百会などを刺激することで低下した脳の働きが改善されることがわかってきた。750人のうつ病患者を対象にした研究で症状の改善効果が検証されている。通常の治療のグループに比べて通常治療に鍼治療を加えたグループでは改善効果が高くなることがわかった。

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冨永愛が体感 鍼灸・漢方薬の新たな世界

冨永は漢方専門医の今津さんを訪ねた。東洋医学では気、血、水の3つの要素で体の状態を見極める。様々な視点から体全体の症状や体質を診る。冨永を診察した今津さんは半夏白朮天麻湯を処方した。半夏は胃腸とを整え、白朮は水のバランスを改善。天麻はめまいや耳鳴りを改善する。

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藤田医科大学
漢方薬の最前線 驚きのメカニズム

漢方薬の効果に腸内細菌が関わっていることがわかってきた。胆管がんになると胆汁が肝臓に蓄積して黄疸になり肝臓の機能が行われる。黄疸の改善に茵蔯蒿湯が使われるが、胆汁の流れが良くならない患者もいる。外科医の横山博士は効果に違いがでる謎を解く鍵として腸内細菌に注目した。茵蔯蒿湯にはインチンコウ、ダイオウ、サンシシが含まれ肝臓に最も作用するのはサンシシに含まれるジェニポシドという物質。ジェニポシドを含んだ漢方薬が腸の中に入ると腸内細菌が集まり、漢方薬を分解する酵素を出す。酵素にジェニポシドが近づくと黄疸を改善する薬効成分ジェニピンという物質に変化する。横山博士は腸内細菌が漢方薬の効果を引き出している、よくない腸内環境だとジェニピンをうまく作れないとした。

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漢方薬の最前線 新たな免疫メカニズムとは

理化学研究所の佐藤博士は大建中湯の免疫の作用についてを調べた。腸炎を患うマウスに大建中湯を与えたところ5日ほどで腸炎が改善した。研究を進めると佐藤博士は病原体から体を守る腸の粘膜バリア維持に関わる3型自然リンパ球を発見した。漢方薬の成分が腸に入ると腸内細菌が集まり、腸内細菌はプロピオン酸を出す。プロピオン酸は3型自然リンパ球に到達し、バリア機能を高めるようメッセージを放出。このメッセージによって腸の細胞が粘膜を生産してバリア機能を強化する。

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最新研究が切り開く東洋医学の未来

病気を防ぐ養生を科学の力で実現する試みが始まった。鍼灸知慮のメカニズムの一つは電気などで神経を刺激して働きを調節する「ニューロモデュレーション」だとわかってきた。ニューロモデュレーションで炎症を防ぐ治療法の開発が世界中で進められている。北海道の村上教授の研究チームでは微弱な電気刺激で病気のタネを防ぐ治療の研を始めた。村上教授らは心理ストレスや環境的な刺激によって体の中に微小な炎症がもたらされることを解明しゲートウェイ反射と名付けた。村上教授らは鍼の代わりに微弱な電気で耳のツボを刺激する治療法「taVNS」の開発を進めている。村上教授の研究チームは2023年11月に間質性肺炎の患者を対象に臨床研究を始め、この治療法の効果を検証している。

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(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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