2024年9月1日放送 16:00 - 17:15 NHK総合

NHKスペシャル
選 メガクエイク 巨大地震〜震災10年 科学はどこまで迫れたか

出演者
井上あさひ 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

コーナーオープニング

現代もなお地震の悲劇は繰り返されている。2010年の放送では、東北沖でM8クラスの巨大地震が起きる可能性があることを伝えた。1年後、それが現実に。その後も、全国各地で相次ぐ直下型地震。M9の巨大地震の警戒が高まっている。

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東日本大震災
MEGAQUAKE 巨大地震 震災10年 科学はどこまで迫れたか
迫りくる巨大地震 科学は命を守れるか

地震と科学の戦いの最前線を紹介する。鈴木京香は、東日本大震災のことを今でもうまく言葉にできないと話した。科学者たちは、3つの課題に取り組んできた。1つ目は、巨大地震の前ぶれをつかめるか?南海トラフ巨大地震は今後30年以内の発生確率が70~80%とされる。

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南海トラフ巨大地震東日本大震災
迫る南海トラフ巨大地震 見えてきた「真の脅威」

和歌山県美浜町。地質学者・廣野准教授は、太古の地震の痕跡を見つけた。8500万年前の地震の断層面で、次の南海トラフ地震がどれだけ巨大化するかを知るカギだという。地震を引き起こしたのは海底のプレート境界。シミュレーションによると、プレートのずれは最大50mに達するという。巨大地震の発生を予測できないか、科学者たちは研究に挑んできた。海洋研究開発機構の堀センター長は、スーパーコンピューターで地震のシミュレーションに取り組んでいる。注目したのはスロースリップという現象。南海トラフのシミュレーションで、前ぶれとしてスロースリップが起きるパターンが見つかった。

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南海トラフ巨大地震東日本大震災美浜町(和歌山)
迫る南海トラフ巨大地震 最新科学で「前ぶれ」をつかめ

前ぶれの情報はどのように伝えられるか。国は2019年に南海トラフ地震臨時情報という仕組みを立ち上げた。通常と異なる場所でスロースリップを観測すれば、気象庁が巨大地震注意と発表する。堀高峰は、巨大地震には準備の段階があると話した。

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南海トラフ巨大地震気象庁

スロースリップなどの異変を監視するため、南海トラフには海底観測網が張り巡らされている。それ以外のエリアでは、年に数回程度しかデータを得られないところも。そこで新たな観測装置ウェーブグライダーが登場。無人で海を動き回って観測できる。

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南海トラフ巨大地震横須賀市(神奈川)海洋研究開発機構

スロースリップなどの異変は数日~数週間で発生するため、見逃さずに捉えるには高頻度な観測が重要だという。しかし堀高峰のシミュレーションによると、南海トラフでは何の前ぶれもなく巨大地震が起きることのほうが多い。

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南海トラフ巨大地震
次の地震はどこで? 見えてきた「新たなリスク」

次の直下型地震はどこで起きるのか?国は全国の活断層の過去の活動を調査し、今後の地震発生確率を予測している。しかし、活断層の存在が知られていないところでも大地震は発生している。西村准教授は新しい手法で地震の予測に挑んでいる。予測に使うのは地殻変動のデータ。全国に設置されたGPS観測装置で大地の動きをミリ単位で計測。その結果、プレートは複数のブロックに分かれていて、ブロックの境界で大地震が発生しやすいと考えている。

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大阪府北部地震岩手・宮城内陸地震平成28年熊本地震平成30年北海道胆振東部地震

西村准教授が作成した直下型地震の発生確率の予測地図を紹介。北陸や近畿などは元々ひずみ集中帯として知られている。大分県内の地震発生確率は国の算出ではほぼ0%だが、西村准教授の分析では地震が起こりやすい状況とされた。主要な活断層が確認されていない九州南部も、今後30年以内に31~42%の確率で地震が発生するという。西村准教授は、活断層とGPSのデータを組み合わせることで、より信頼性の高い予測ができるようになると話した。

地震予測への新たな挑戦 AI&宇宙からの観測も

M9想定震源域のあるカナダ西海岸で、バートランド・ルレデュク研究員のチームは、人工知能による地震予測を目指している。予測のカギは、沿岸一帯で観測されるノイズのような微弱な振動。模擬地震によるノイズをAIが学習し、地震発生前のノイズに特徴的な変化を発見した。そこから地震が起きるまでの時間を予測する。実際の地震活動にも応用できるか検証が始まっている。AIはカナダ西海岸でのスロースリップの発生を近い日数で予測した。また、中国は巨大地震の前ぶれを宇宙から捉えようと、新たな人工衛星を打ち上げた。電離層を観測し、電子の密度の変化を調べている。メキシコ沿岸の地震では、発生前に電子の密度が高まっていた。

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バンクーバー(カナダ)
次の地震はど地震予測への新たな挑戦 AI&宇宙からの観測も

地震予測の研究は進んでいるが、現状では地震の規模・発生日時まで正確に予測することはできない。予測情報の根拠や、客観的な検証がなされているかに注意が必要だという。

激しい「揺れ」から社会を守れ 最先端科学の挑戦

揺れと津波からどう命を守るか?国の最悪の想定に基づくと、南海トラフ巨大地震の被害は、建物倒壊による死者が8万2000人。津波による死者が23万人。以前の放送では、町の一角を丸ごと宙に浮かせる研究を紹介した。ある建設会社は宙に浮く住宅を開発。これまで200戸で導入されている。今年2月の福島県沖地震では、この技術が効果を発揮した事例がある。超高層ビルの揺れ対策もAIによって進化している。大手建設会社の研究では、揺れを抑えるおもりをAIが制御し、揺れを10分の1に抑えることに成功した。デジタルツインの技術で都市の弱点をあぶり出し、重点的な対策につなげる研究も始まっている。それを可能にしたのがスーパーコンピューター。精密な地盤や建物のデータをデジタル空間の東京に入力して解析している。シミュレーションの結果を国・自治体・インフラ企業に提供し、対策につなげてもらいたいという。

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三木市(兵庫)南海トラフ巨大地震東日本大震災登米市(宮城)郡山市(福島)

表層地盤の揺れやすさを示した図を紹介。高知県では低コスト耐震の取り組みが行われている。大規模工事をせず、既存の柱や基礎を補強して耐震化を図っているという。

どんな津波が?どう逃げる? 津波予測 新たな挑戦

宮城県気仙沼市で津波防災の取り組みを続けてきた今村教授。実際の津波は、震災前の津波ハザードマップの想定を超え、避難場所とされていた高台でも50人が亡くなった。今村教授はAIとスーパーコンピューターを組み合わせ、南海トラフ巨大地震の新たな津波予測に取り組んでいる。その情報を一人一人の居場所に応じて届ける技術も開発している。今村教授は犠牲者ゼロが目標だと話した。

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南海トラフ巨大地震川崎市(神奈川)気仙沼市(宮城)

今村教授は、スマホなどを使って、今いる場所やより安全な場所を具体的に示すことが大切だと話した。地震や津波でどんなことが起きるか頭の中でシミュレーションし、備えや訓練が必要だという。

迫りくる巨大地震 「想像力」が命を守る

高知県土佐清水市では防災小説という取り組みが進められている。揺れや津波から身を守り、避難場所にたどり着くまでを具体的に想像して書く。想定外の事態に思いを巡らせ、備えを考えるようにするのが狙いだという。

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南海トラフ巨大地震土佐清水市立清水中学校土佐清水市(高知)

今村教授は、過去に起きたことを学ぶだけでは想定外に対応できないと話した。地形や気候の変化なども津波予測に取り込む必要があるという。

迫りくる巨大地震 科学は命を守れるか

鈴木京香は、科学の進歩に安心する一方、自分たちの備えも大切だと話した。島川英介は、新たに得られたデータや知見を、限界も含めて伝えることが求められていると話した。

巨大地震に襲われたときどう行動すればよいか。防災小説を通して考えていた中学生たちは、互いに意見を交わすことで、1人では気付けなかった危険にも想像が広がるようになった。巨大地震でずれ動いた岩盤から見つかったスメクタイトに研究者は注目。物を滑りやすくする性質があり、巨大地震の要因の一つと考えられる。南海トラフなどにも存在し、地震を巨大化させる恐れがあるのではないかと調査が進められている。福島などで震災を経験した若者が、津波研究を続けてきた今村教授の下で学び始めている。

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スメクタイト土佐清水市(高知)東北大学災害科学国際研究所海洋研究開発機構 高知コア研究所
(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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