2026年8月23日放送 21:00 - 22:00 NHK総合

NHKスペシャル
地球の“異変”を宇宙から超解析!豪雨・熱波なぜ?

出演者
石川佳純 森下絵理香 野口聡一 立花義裕 
(オープニング)
宇宙から解く!熱波と豪雨の謎

科学者たちは今、人工衛星のデータの解析から熱波や豪雨の謎の解明に挑んでいる。さらに地上も探索して地球を解析し、熱波や豪雨から未来を守る一歩を考える。

キーワード
アメリカ航空宇宙局アラスカ(アメリカ)エクセター大学北極海千葉県
オープニング

オープニング映像。

地球超解析
偏西風の蛇行

地球観測衛星はくりゅうが捉えた今年5月の台風のデータを解析すると内部の構造がわかった。6月のヨーロッパの地表の温度を測るとマドリードが48℃、フランスの一部では46℃になっていた。ヨーロッパは今年激しい熱波に襲われ、記録的な高温となった6月22~28日に例年より1万人以上多くの人が亡くなった。通常はまっすぐ流れる偏西風が今年は蛇行したことで「Ωブロック」という大気の構造が作り出され、北アフリカの暑い空気が西ヨーロッパまで運ばれた。そこに発生した高気圧によって空気が圧縮され、異常な高温となった。エクセター大学のジェームズ・スクリーン教授は、編成は北極と赤道の気温差の影響を受ける、北極は地球の中でも急速に温暖化が進んでいると話した。三重大学の立花教授は、異常気象の8割ぐらいは偏西風の大きな蛇行で説明できる、ヨーロッパで蛇行が大きくなると2週間後くらいに日本でも蛇行が始まると話した。

キーワード
はくりゅうアテネ国立天文台アテネ(ギリシャ)アメリカ海洋大気庁アメリカ航空宇宙局エクセター大学ゴダード宇宙飛行センターポワティエ(フランス)マドリード(スペイン)ヨーロッパ中期予報センター多治見(岐阜)欧州死亡率監視ネットワーク
北極の異変

5年前からアラスカでキャスナー氷河を調べている海洋研究開発機構の紺屋研究員は、氷河全体が3kmくらい後退している、温暖化によって氷河の後退が加速すると話した。北極海は本来夏の間も氷に覆われ熱がたまりにくいが、メルトポンドと呼ばれる溶けた池ができると太陽光の反射率が下がって水が温まり、温まった水が周囲の氷を溶かす悪循環になる。人工衛星のデータを見ると、氷の面積は40年間で4割ほど減少していた。気象庁気象研究所の中村研究官が北極圏の水蒸気の量や経路のデータをコンピューターで解析した結果、氷が溶けて海面が現れたことで北米大陸やユーラシア大陸から流れ込む水蒸気量が大幅に増えていることがわかった。水蒸気の温室効果で、さらに気温が高まって氷を溶かしている。

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アラスカ(アメリカ)北極海国立極地研究所宇宙航空研究開発機構気象庁気象研究所海洋研究開発機構
熱帯地域の温暖化

エクセター大学のスクリーン教授は、北極の温暖化は偏西風のスピードを下げて南に動かし、熱帯地域の温暖化は偏西風のスピードを上げて北へ押し上げる、互いに相反する影響があり綱引きをしているような状態のため不確実性が高く予測が難しいと話した。立花教授は、赤道の温度の変化にも偏西風は影響される、日本の温暖化が進むスピードは世界平均の2倍、周りを海水温の高い海に囲まれており、海の温度は下がりにくいので秋も暑くなると話した。

キーワード
Coral Reef Watchアメリカ海洋大気庁エクセター大学
暑さにどう対応?世界の取り組み

アテネでは熱を測るドローンを飛ばして街の暑さを解析し、解析をもとに熱リスクマップを独自に開発した。地形や人口密度、高齢者や障害者の住む場所などの情報を合わせて総合的に熱リスクを判定し、危険を判断された場所を色で示す。熱リスクの高い場所には、看護師やホームヘルパーを重点的に派遣している。さらに2年前から1万3000本以上の木を街中に植えてきた。近い経路だけでなく涼しい経路を提案する地図アプリも作った。世界の樹冠被覆率を見るとパリが21%などとなっているのに対し、東京23区は7.3%と少なかった。2013年は9.2%だったが、住宅地の庭がなくなるといったことが影響して7.3%まで減少した。

キーワード
アテネ国立天文台アテネ(ギリシャ)グーグルパリ(フランス)寺田徹東京大学白石欣也赤十字社
大気の川

気象衛星などのデータをもとに大気中の水蒸気量を可視化したものを見ると、赤道付近で発生した水蒸気が流れ出す大気の川ができていた。大気の川は時に長さ数千km、幅数百kmにもなり、大量の水蒸気を運ぶ。近年大気の川が日本にも水害をもたらしており、6年前に九州を襲った豪雨もそのひとつ。南シナ海などから九州にのびた大気の川が、アマゾン川を上回る流量の水蒸気を運んだ。筑波大学の釜江教授はAIを使って膨大なデータを解析し、日本周辺の大気の川の水蒸気量が増え続けていることを明らかにした。気象学者の坪木教授は、海水温が2℃上昇した場合を想定して日本に近づく台風の強さをシミュレーションした。解析の結果、880ヘクトパスカル、風速70メートルのスーパー台風が日本を直撃する可能性が浮かび上がった。

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アマゾン川中国南シナ海名古屋大学奄美大島横浜国立大学筑波大学
豪雨を弱める方法

豪雨を弱める方法を探っている千葉大学や富山大学などの研究チームは、上空3000mでドライアイスを落として雲を冷やし、雨として降らせて海の上で勢力を弱められないかという実験を行った。結果雲が切れていくような変化が観察できた。30年後の技術の確立を目指している。千葉大学の小槻教授は、天気自体も変えられる未来ができればいいと話した。立花教授は、雲がどう発生するかわかれば予報精度の改善につながる、根本療法は二酸化炭素などを減らすことと話した。

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千葉大学富山大学富山湾
温暖化による地球規模の変化

アラスカ大学の岩花教授は、いぶきが捉えた大地のデータをもとにアラスカで起きている大地の変化を解析した。温暖化の影響で永久凍土の地面が溶けるようになったため、家も道路も傾いた場所があった。2015年に合意されたパリ協定では世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという目標を掲げており、世界中で再生可能エネルギーの普及が進んでいる。大気中の温室効果ガスを測定しているいぶきのデータを解析すると、地球全体の濃度は過去最高となっている。IPCCのジム・スキー議長は、今後5年以内に1.5℃の地球温暖化が起こることは避けられない、期待しうるのは二酸化炭素排出量を実質ゼロにする目標を果たすことと話した。IPCCが予測シナリオでは、化石燃料に頼った社会が続く場合は今世紀末の気温上昇は4.4℃ほど、2050年に二酸化炭素排出量を実質ゼロにできた場合は1.4℃ほど、中間のシナリオでは2.7℃ほどの上昇と予測されている。東京大学未来ビジョン研究センターの江守教授は、2050年には日本の最高気温は43℃になる可能性がある、毎年日本1つ分の排出量を減らすことが理想と話した。

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いぶきだいちアラスカ大学パリ協定国立環境研究所国立環境研究所 地球環境研究センター宇宙航空研究開発機構岩渕弘信東京大学東京大学未来ビジョン研究センター東北大学気候変動に関する政府間パネル環境省
新型コロナパンデミック

衛星の観測データで日本周辺で見えていた飛行機雲のかたまりが、新型コロナウイルスのパンデミックで激減していた。この時世界全体の二酸化炭素の年間排出量は5%以上減少した。最も現象した4月に注目すると陸上輸送で-36%、産業部門は-19%、電力部門は-7%だった。その後パンデミックの収束とともに排出量が上昇に戻った。江守教授は、活動を我慢することで排出を減らすのは限界がある、車より自転車に乗ったりマイバッグを使ったりをみんながしても温暖化は止まらない、もっと大きなことを考えないといけないと話した。

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SARSコロナウイルス2アメリカ国立アレルギー・感染症研究所イースト・アングリア大学岩渕弘信東京大学東京大学未来ビジョン研究センター東北大学
新たな技術の開発

宇宙に巨大なソーラーパネルを設置する宇宙太陽光発電の開発が進んでいる。電気を電波に変えて地球に送り、再び電気に戻す。パネルの大きさは2.5km四方で、原子力発電所1基分もの電気を天候に左右されず生み出すことができる。2年前には航空機からの送電実験も行われ、高度7kmから地上への送電に成功した。残る壁は宇宙から電波で送電すること。さらに空気中の二酸化炭素を吸収する「Direct Air Capture」の開発も急ピッチで進んでいる。実証装置は、年間約200トンの二酸化炭素を回収できる性能がある。開発した川崎重工業では将来、装置の大きさを現在の100倍に拡大して50基並べる巨大プラントの実現を目指している。回収した二酸化炭素は地中深くに閉じ込めることが計画されている。江守教授は、フルスケールで完成したら年間100万トン吸収してくれる、日本の排出量をゼロにするには1000か所必要、世界のエネルギー需要が増えている分は太陽光と風力でまかなえている、二酸化炭素の排出削減を進める政治のリーダーを選ぶと対策は進むと話した。

キーワード
Direct Air Capture国際宇宙ステーション宇宙システム開発利用推進機構川崎重工業
(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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