- 出演者
- リリー・フランキー 赤木野々花 南果歩 加藤忠史
イギリスでは微弱な電気で脳を刺激するtDCSという最新のうつ病治療が行われている。うつ病を克服するため世界中の研究者たちが挑戦を続けており、心の問題ではない意外な原因や、うつ病を防ぐ食事も明らかになってきた。
オープニング映像。
スタジオゲストの南果歩は、50代でうつ病を経験した。南は、重度のうつ病と言われてホッとした、カウンセリングなどで少しずつ改善していったと話した。心理的ストレスが脳にどのような影響を与えているかは解明されていない。
- キーワード
- うつ病
長年うつ病に悩まされてきたイギリスのアメリアさんは、脳を微弱な電気で刺激するtDCS治療で改善した。tDCSは抗うつ薬以外の選択肢として注目されており、170人のうつ病患者を対象にした臨床試験で確かな効果があることが確認された。tDCSを研究するフー博士は、今後世界中でtDCSが使われるようになると話した。精神科医の加藤さんは、副作用も少なく手軽に行えるので期待されているが日本では医療機器として未承認なので自己判断での治療はしないでほしいと話した。2019年から健康保険適用になっている「経頭蓋磁気刺激(rTMS)」は、磁気で脳神経を刺激することで症状が改善する。東京慈恵会医科大学の鬼頭教授は、rTMSを行うとやる気とか集中力とかに治療効果が期待できると話した。
うつ病患者の脳では、シナプスで情報を伝える神経伝達物質の一つであるセロトニンの不足によってうつ状態が生じるとされてきた。抗うつ薬が作用するとセロトニンが増加しうつ病が改善すると考えられていたが、最新科学によって新たな作用が明らかになった。ヘルシンキ大学のカストレン博士は、うつ病の回復には数週間かかるためセロトニンだけでは抗うつ薬の効果やメカニズムは説明できない、抗うつ薬の効果の実体は神経細胞の接続ポイントの増加だったと話した。うつ病の正体は単なるセロトニンの減少ではなく、神経ネットワークが萎縮することで起こっていたとわかった。加藤さんは、電気や磁気で神経細胞を興奮させると神経栄養因子が出てきてシナプスが回復する、カウンセリングや認知行動療法では新しい考え方などを繰り返し学ぶことで認知に関わる神経ネットワークが変化して症状が改善すると話した。
うつ状態のマウスで心理的ストレスの影響を研究してきた鳥取大学の岩田教授は、ストレスが加わることで脳内の免疫細胞ミクログリアが暴走して脳内炎症が起こり、結果うつ病を発症することを発見したと話した。心理的ストレスを受けると脳の神経活動が過剰に活発になり、脳内では神経細胞の異変を警告する物質が放出される。ミクログリアが活性化し、危険に対処するため炎症物質を放出する。この状態が続くと神経ネットワークがダメージを受けて萎縮する。
エモリー大学のミラー博士は、うつ病のがん患者にがん細胞の活動を抑え込むため免疫を活性化させる薬が投与されていたが、薬の副作用によって体に生じる炎症がうつ症状の原因ではないかと考えたと話した。ミラー博士は、うつ病500人以上の血液を採取しCRPと呼ばれる体内の炎症レベルの値を調べた。研究の結果、うつ病患者の4人に1人で体の炎症が深く関わっていることがわかった。ミラー博士は、心理的側面だけでなく体に生じる炎症がうつ病の原因の一つと判明した、体の炎症を高める最大の要因の一つは肥満、肥満になると脂肪細胞が増大して酸素が足りなくなり脂肪細胞が死ぬ、すると免疫細胞が反応し炎症物質を大量に放出すると話した。
- キーワード
- エモリー大学ジョージア州(アメリカ)
体の炎症が関与する疾患のうつ病発症リスクは、糖尿病が1.3倍、肥満、炎症性腸疾患、関節リウマチが1.5倍となっている。加藤さんは、うつ病になると肥満や糖尿病を起こす逆方向の関係もあるので逆循環が生まれると話した。
ディーキン大学のジャッカ博士らの研究では、うつ病患者を食事改善を行うグループと相談や傾聴など社会的支援を行うグループに分けて3か月続けた。食事改善のグループは社会的支援のグループよりうつ病が改善した。研究成果によって、オーストラリアでは食事改善がうつ病診療のガイドラインに掲載された。腸内環境を良くする野菜や発酵食品などがうつ病のリスクを抑制することが判明した。加工食品を過剰に接すると腸内細菌や腸に作用して炎症が発生。すると腸から炎症シグナルが脳に到達し、 脳内で炎症が起こり神経ネットワークが萎縮する。加藤さんは、腸内細菌の多様性が失われることがうつ病のリスクになると話した。
スタンフォード大学のウィリアムズ博士は、脳活動の機能不全には様々なタイプがありうつ病はひとつの病気ではない、うつ病は脳回路の障害という新たな認識への転換が求められていると話した。6000人の脳活動を計測してうつ症状と脳部位の関係を網羅的に分析した結果、うつ病患者の脳活動は大きく6つのタイプに分かれることが見えてきた。障害部位によって症状が異なり、中でも認知機能タイプは特に抗うつ薬が効きにくい。ウィリアムズ博士らは認知機能タイプの患者に効果的な治療法を探索し、rTMSが有力な候補に挙がった。加藤さんは、うつ病は体の病気だと広く理解されるようになると良いと話した。
うつ病を引き起こす脳内炎症の研究チームは、有力な薬剤の候補を見つけた。体内で作られる抗炎症作用を持つ物質で、投与したマウスではストレスがあっても炎症物質の増加が抑えられた。実用化に向けて臨床試験が始まっている。
エンディング映像。
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