羽中田真弓さん38歳は大好きなマンガやキャラクターグッズに囲まれた部屋で一人暮らしをしている。趣味はツーリングで、アルバイトで生計を立てながら自由な暮らしを楽しんでいる。不安は孤独死で、きっかけは30代の同僚が病気で倒れたことだった。そこで頼りにしたのが安否確認サービス。指定した頻度で届くLINEのメッセージにOKをタップすることで万が一の時に早期発見してもらうサービスで、タップを忘れると電話がかかってくる。電話をかけたのはこのサービスを無料で運営するNPO代表・紺野功さん。繋がらなかった場合は登録してもらっている親族などに電話をする。サービスを始めたきっかけは弟が一人で亡くなり一週間発見されなかったことだった。7年前に始めた安否確認サービスは現在全国で2万人余りが登録している。紺野さんは現役世代にとっても孤独死は身近になっていると感じている。3年前に登録した松本博文さん52歳。母親が16年前にがんで亡くなりうつ病になった。仕事を退職せざるを得ず親と社会とのつながりを同時に失った。孤独死への強い不安に苛まれていったという。不安な毎日を変えたのが安否確認サービスだった。3日に1回連絡が来るたびに気持ちが落ち着いていった。死と向き合ったことでひとりになる選択をした人もいる。ピアノ講師のあおいさん53歳はがんを患ったことをきっかけに夫と離れてひとりで暮らしている。不機嫌になると口を利かなくなる夫と長年ほとんど会話がない状態が続いていた。そうした中でがん治療中にも全ての家事を担い続けた。変わらない夫の態度に残りの人生は自分のために生きたいと思うようになった。気がかりだったのは一人の死後で、家族に迷惑をかけたくないと考えた。一人になる後押しをしたのは安否確認サービスだった。一人になり仕事に時間をかけることができ生徒数も増加した。食事は友人とテレビ電話するなど一人の生活を楽しんでいる。あおいさんは、24時間自分のために使おうと思ったら仕事が充実して人との関わりも増えたと話した。