災害に強い森を作るために木の苗をみんなで育てて山を守る取り組みをしているのは、土砂災害による被害をゼロにすることを目標にしている田辺市の林業ベンチャー。代表の奥川季花さん。活動の原点は14年前の紀伊半島豪雨で被災したこと。土砂災害や河川の氾濫が相次いで発生、当時高校1年の奥川さんが住んでいた那智勝浦町では29人が犠牲となった。後輩を亡くし、悔しさが込み上げたという。大学に進学した奥川さんは災害が起きにくい環境について研究をはじめた。林業の世界では木材の価格が下がり、伐採後に放置される山が増えている。山に木がない状態が続くと、土砂災害のリスクが高まる。そこで、奥川さんが考えたのが植林用の苗をみんなに育ててもらうこと。観葉植物としてどんぐりの鉢のセットを販売する。大きくなった苗は会社が引き取るか、育てた人が植樹する。苗木の代金の一部は林業の会社や木工所に還元する。これまでに全国で育てられた苗木は3000本以上。白浜町にあるテーマパークでも、苗を育てる取り組みが行われている。