”賃上げ”について街の人は「少し上がった。賃上げの実感があったわけではない」「全く変わっていない。物価はすごい上がったなって実感している」と話す。そんな中、今年から賃上げしたのは精密機械部品の製造会社。金属を加工し船舶・医療機器などの部品を製造している従業員18人の会社。原材料・エネルギー価格の高騰で苦しい経営が続く中で賃上げに。社長は「賃上げは4%ぐらいだが、どう魅力ある会社をつくっていくかが経営者としては重要なところ」と話した。政府与党は賃上げを促す「賃上げ促進税制」について議論。企業が3%の賃上げにとどまる場合は税がかからない控除の率を引き下げるなど厳格化。一方で7%以上の大幅な賃上げをした大企業には法人税を減らし優遇する方針。女性活躍や子育て支援に積極的な企業の場合には優遇を更に上乗せ。税の控除を最大35%に引き上げ。自民党・宮沢税調会長は「大きな賃上げをした企業にメリットがいくような制度に仕組んだと思っております」と話した。ただ、赤字の企業は法人税を納めていないため減税という恩恵は受けられないことから、中小企業については将来の黒字を見込んで減税の権利を最大5年間繰り越せるようにする。これに中小企業の経営者は「控除はもっとあった方が良いがないよりは助かる」と話した。ただ、繰り越しについては「赤字企業だったら賃上げしたら潰れてしまう、賃上げの本気度が感じられない」と話す。専門家は「政策の方針は一定程度的を射ている」と評価しつつも「減税で賃上げを加速させる企業がどれほど現れるか不確実性が高い」と指摘。また、「年金」「退職金」制度も合わせて解決する必要があるとしている。新たな税制改正で大企業だけでなく働き手の7割を占める中小企業でも賃上げが広がっていくのか正念場となる。