「ハラル日本食」とは、イスラム教の戒律に沿った日本食のこと。イスラム教徒が人口の6割以上を占めるマレーシアで、ビジネスチャンスを見いだした日本企業が動き始めている。マレーシアで人気を集める日本の飲食店の数は2年前の1.5倍、およそ1900店に上っている。イスラム教徒たちの人気を集めているのが、ハラル対応の食材を使った飲食店。焼き肉店では、豚由来の餌を食べていない家畜の肉が提供されている。茨城県に本社があるラーメンチェーン店では、イスラム教の戒律に沿って豚肉は使わず、看板メニューの豚骨ラーメンをすべて鶏ベースにした。チャーシューも鶏肉。徹底してイスラム教徒向けの営業戦略を進め、審査が厳格なことで知られるマレーシアのハラル認証を取得した。今や客の7割以上がイスラム教徒。5年間で6店舗に拡大し、売り上げはおよそ10倍になった。マレーシアは今、国を挙げてハラルの世界的なハブになることを目指している。みずからをイスラム市場への拠点と位置づけ、外国企業に投資を呼びかけている。こうした動きに日本大使館などは、マレーシアへの日本食の輸出を後押しするプラットフォームを設立。食品メーカーや商社などが参加している。世界のイスラム教徒の人口は、2030年には22億に達すると言われており、当たれば大きなマーケットになる。取材したディレクターによると、「ハラル日本食」は日本で食べるものと大差なく、店側の営業努力を強く感じたとのこと。