今月26日にはロシアによる軍事侵攻後、初めてのオリンピックがフランス・パリで開幕する。ウクライナからも代表選手が出場するがその多くが侵攻により練習場所を失い不慣れな場所でのトレーニングを余儀なくされている。ウクライナの代表選手が着用する公式ウェアは国旗の色である青と黄色を基調にしていて、胸には国章もあしらわれている。選手たちは国民の期待を背負って大会に臨む。マリナ・アレクシーワ選手とウラディスラワ・アレクシーワ選手はアーティスティックスイミング代表の双子の姉妹。東京オリンピックではチームで銅メダルを獲得、パリ大会では2人でデュエットの部に出場する。大会に向けてウクライナ・キーウで調整を続けているが、ロシアが軍事侵攻を始めた当初は練習を行える状況ではなかったという。2人は一旦、イタリアへ避難したが約半年後に帰国し去年9月から故郷のウクライナ・ハルキウに戻り練習を続けていた。ハルキウはロシアとの国境に近く、常に攻撃にさらされてきた場所だ。練習していたハルキウのプールの窓ガラスは攻撃で割れ、仮設の覆いでしのいでいて、プールの底にはガラスの破片が落ちていたこともあったという。防空警報で練習が中断することもしばしばあり、そんな時は防空壕の中でチームメイトと体を動かすだけの時間が続いた。停電も頻繁に起きるためプールの水温が下がる冬場はウェットスーツを着て練習することも。代表に決まってからは安全確保のためキーウで練習しているが、ほかの競技用のプールを使っているため練習時間は限られている。それでもオリンピックに臨む2人の意気込みに変わりはない。ウクライナの現状と不屈の思いを世界に届けたい、パリを舞台にした彼女たちの挑戦はまもなく始まる。