ワシントン支局の小田島記者に聞いていく。会合の前にはトランプ大統領から利下げを要求する発言があったが、パウエル議長は最小限のコメントにとどめたということだろうか。パウエル議長はトランプ大統領に関連する質問には慎重な答えに徹した。政府効率化省のトップでもある実業家のイーロンマスク氏が「FRBの職員数が多すぎる」と主張していることについても「慎重に予算管理をしている、それ以上のコメントはない」と述べるにとどめた。選挙で選ばれた政治家は利下げなど国民受けのいい金融政策を好む傾向があり、実際アメリカでも過去に大統領がFRBに圧力をかけた事例がいくつもある。パウエル議長としてはインフレとの闘いが難しい局面を迎えている中でトランプ大統領との間で波風を立てて独立性が脅かされ、本来取るべき政策が取れなくなる事態は避けたいとの強い思いがあったと感じる。トランプ大統領は関税の引き上げなどを掲げているが、こうしたことは今後、アメリカ経済にどのような影響を及ぼすのだろうか。これはFRBにとっても最大の心配事だと思う。実際、前回12月の会合の議事録ではトランプ政権の発足を念頭に通商政策などが変更されることでインフレの上振れリスクが高まっていると、ほぼすべての参加者が判断していたことが分かっている。関税の引き上げには輸入物価の上昇を通じてインフレを加速させるリスクをはらんでいる。こうなるとFRBとしては金利を高い水準で維持せざるをえなくなり、低金利マンといわれるトランプ大統領の主張とも合わなくなる。まずはどのような政策が打ち出されるのか、FRBとしては待ちの姿勢が続きそう。