ヨーロッパ議会選挙の開票作業が進むにつれヨーロッパ政治に衝撃が広がっている。発表によると、全体で言えばこれまでEUの政策を主に支えてきた中道右派や中道左派などの三代会派は過半数を維持する見通しである。その一方でEUに懐疑的な右派や極右の政党が議席を増やす見通しになっているのである。ヨーロッパ議会選挙は人口に応じて加盟各国に割り当てられた議席を巡って国ごとに投票が行われるが、このうちフランスでは出口調査の結果などから、移民の受け入れやウクライナ支援に否定的な極右政党が30%余と最も多くの票を獲得したとみられている。これはマクロン大統領の与党連合の約15%の倍以上である。極右台頭の背景には一部の有権者の間での既存の政治への不満がある。EUが気候変動対策や移民・難民の受け入れに関する高い理念を掲げている一方で、雇用や物価の問題を蔑ろにされていると不満があるとのこと。こうした不満は特に若い世代の間で目立っていて、多くの若者が極右政党の支持に流れていると分析されている。