世界のプラスチック使用量は年間4億トン以上と、地球上の人類の総体重にも匹敵する量を1年で消費するようになっていて、これに伴い山のようなごみも出ている。大気や海にもマイクロプラスチックが漂って、私たちも飲み水や呼吸を通じて体内に取り込み、健康への影響も懸念されるようになってきた。そこで国連環境総会でプラ汚染を終わらせるための条約を作る政府間交渉を行うことが決まり、今年がその期限だが、先月末に行われた4回目の交渉も簡単ではなかった。マイクロプラスチックの拡散を止めるためにはまずプラごみをきちんと回収処分することが必須だが、今使われている化学繊維の衣類やプラスチック製品からもマイクロプラスチックは発生するため、EUや海洋プラごみの影響を受けやすい島しょ国などは生産量の削減も必要だとしている。これに対して中国や中東の産油国などは条約で生産規制を扱うこと自体反対で、意見の集約は容易ではない。日本は「生産から廃棄まで全体を条約で扱うべきだ」としつつも、一律の生産規制には反対していて、各国の事情に応じてリサイクルなどを推進することでごみになるプラを減らすべきという考え方。日本は2年前に「プラ資源循環法」を施行して、従来の容器、包装プラスチックに加えプラ製品のごみも分別回収し、リサイクルを推進するよう市町村に求めている。条約交渉は年末にあと1回を残すのみだが、プラ汚染を止められるのか注目される。