先週開かれた世界最大規模のロボット展示会「2025国際ロボット展」で特に注目を集めていたのがロボットのアームが小さな球を掴み、決められた場所へ向かって運んでいく。ロボットの繊細な動きを支えているのが小さなチェーン。製造しているのは1917年に大阪で創業した椿本チエイン。回転寿司のレーンやエスカレーターなど身近なものに椿本のチェーンが使われていて、産業用スチールチェーン分野では世界シェアトップを誇る。京都府の京田辺工場は東京ドーム5個分の広さを誇る椿本最大規模の製造拠点。椿本のチェーンの最大の特徴は強度。870℃の高温で熱することで大型の機械を支える強いチェーンが完成する。椿本が高いシェアを誇るのは産業用チェーンだけでなく、自動車のエンジンに使われるタイミングチェーンシステムは重要な部品で、国内では10台に7台、世界では4台に1台のエンジン車に使用。今、自動車業界では世界的にEV化の波が押し寄せている。EVの普及が進むとチェーンの需要が減少することも懸念される。椿本チエイン財務・経営企画担当の明坂泰宏上席執行役員は「技術をベースに新たな市場創造につながるような事業創造は不可欠。社会課題解決型企業に変容していこうと考えた」と話した。
椿本は新たな取り組みをスタート。今年8月から稼働を始めた福井美浜工場ではLEDの照明装置を使ってレタスを栽培。特徴は栽培工程の自動化。トレーを上げ下げや出し入れする装置もチェーンで動き、装置全体を椿本チエインのアグリビジネスで設計・開発をしたという。これまでに培ってきたチェーンの技術を応用し、次世代モデルの人工光型植物工場を実現した。種植えや出荷には人の手が加わるが、工程の大部分を自動化させることで大規模な省人化を達成できた。日本の農業が抱える人手不足の課題を技術力でカバー。レタスはコンビニやレストランに出荷される。天候に左右されない工場栽培のメリットもあり、1日あたり約2トンのレタスを安定して生産し続けている。椿本では植物工場の自動化システムを製品化し、今後社会に広げていきたいとしている。それに伴い、農業ビジネスの売り上げを2030年度までに50億円に引き上げる計画。
既存の技術を応用した新規ビジネスは他にも。今年3月、ドローン事業への参入を発表。エンジンドローンはモビリティ技術で培った技術を生かして製造した製品で、ガソリンエンジンが生み出す強力なパワーは最長7時間飛行でき、50kgまでの荷物を運搬できる。先週のロボット展で披露した新製品も椿本の事業多角化の一端を担っている。物流センターで必要な搬送を自動化した装置や、商品をAIで検知し自動仕分けする装置も、人手不足や長時間労働といった社会課題の解決を目指す。椿本チエイン西日本営業部関西営業課・時任瑠威さんによると、ロボットアームの先端についているチェーンは世界最小のチェーンでギネス記録を取った製品だという。椿本チエイン財務・経営企画担当の明坂泰宏上席執行役員は「現状維持は後退。常に新しいところで大きな付加価値を生んで、社会・従業員・株主にも利益還元ができるようになればいいなと思う」と話した。
椿本は新たな取り組みをスタート。今年8月から稼働を始めた福井美浜工場ではLEDの照明装置を使ってレタスを栽培。特徴は栽培工程の自動化。トレーを上げ下げや出し入れする装置もチェーンで動き、装置全体を椿本チエインのアグリビジネスで設計・開発をしたという。これまでに培ってきたチェーンの技術を応用し、次世代モデルの人工光型植物工場を実現した。種植えや出荷には人の手が加わるが、工程の大部分を自動化させることで大規模な省人化を達成できた。日本の農業が抱える人手不足の課題を技術力でカバー。レタスはコンビニやレストランに出荷される。天候に左右されない工場栽培のメリットもあり、1日あたり約2トンのレタスを安定して生産し続けている。椿本では植物工場の自動化システムを製品化し、今後社会に広げていきたいとしている。それに伴い、農業ビジネスの売り上げを2030年度までに50億円に引き上げる計画。
既存の技術を応用した新規ビジネスは他にも。今年3月、ドローン事業への参入を発表。エンジンドローンはモビリティ技術で培った技術を生かして製造した製品で、ガソリンエンジンが生み出す強力なパワーは最長7時間飛行でき、50kgまでの荷物を運搬できる。先週のロボット展で披露した新製品も椿本の事業多角化の一端を担っている。物流センターで必要な搬送を自動化した装置や、商品をAIで検知し自動仕分けする装置も、人手不足や長時間労働といった社会課題の解決を目指す。椿本チエイン西日本営業部関西営業課・時任瑠威さんによると、ロボットアームの先端についているチェーンは世界最小のチェーンでギネス記録を取った製品だという。椿本チエイン財務・経営企画担当の明坂泰宏上席執行役員は「現状維持は後退。常に新しいところで大きな付加価値を生んで、社会・従業員・株主にも利益還元ができるようになればいいなと思う」と話した。
