オーストラリアの西に位置するバヌアツでは中国が影響力を増している。人口は32万人でGDPは3分の1を観光収入で賄っている。ポートビラには新たな政府庁舎が立てられているものの、ここには「中国援助」と書かれた看板が立てられていた。大統領公邸や国際会議場・体育館なども中国からの資金で建てられる様子が見られ、東南アジアだけでなく南太平洋まで影響力を拡大する様子が見られる。バヌアツのサルワイ首相に取材を行うと、習主席とはインフラ整備などで覚書を交わしたと明かし、中国銀行の支店設置などについて話し合ったという。一方でバヌアツは対外債務の約4割が中国政府系の銀行となっている。スリランカでは多額の債務を返済できないことを受けて港の運営権を99年譲渡するなどした「債務の罠」の一環と見られる。サルワイ首相は我々は気候変動の被害者と訴える様子が見られ、実際に去年バヌアツでは2つのサイクロンのために約630億円もの被害が出ているという。中国の太平洋進出をめぐり日本では太平洋・島サミットを行い、伊藤環境大臣も訪問を行うなどしている。サルワイ首相は日本による支援に感謝の意を示しているが、今後も島しょ国との協力を進めることが求められる。