ことしのノーベル経済学賞に、米国の大学教授など3人の研究者が選ばれた。受賞が決まったのは、マサチューセッツ工科大学のダロンアセモグル教授とサイモンジョンソン教授、シカゴ大学のジェームズロビンソン教授の3人。スウェーデンの王立科学アカデミーは、3人がヨーロッパの植民地で導入されたさまざまな政治・経済制度を検証し、国家間の繁栄に大きな差があることについて、社会制度の根強い違いが1つの重要な原因になることを明らかにしたとしている。慶應義塾大学の坂井豊貴教授によると、3人の功績は経済の発展には「文化」や「民族性」や「気候」ではなく、「社会制度」こそが重要だと論証したことにあるという。ヨーロッパの国々はかつてアフリカに植民地を作っていたが、場所によって異なる政策を取っていた。その中で、一部の人に権力が集中するような収奪的な制度を取っていた地域は、その後も貧しいという因果関係を立証したといえる。この研究が選ばれた意義について、坂井教授は「1つは民主主義は大事。非常に権威主義的な国も最近それなりにもてはやされたりもするが、そういう国は一時的に国が栄えているように見えるとしても、長期的に見てみると貧しくなってしまう。やはり社会制度そのものを変えることがとても大事」と述べた。