国連総会に合わせて積極的に外交を展開したゼレンスキー大統領。ここへ来て隣国のポーランドとの亀裂が浮き彫りとなった。きっかけとなったのがゼレンスキー大統領の一般討論演説での発言。背景にはウクライナ産の農産物輸出がある。ロシアによる侵攻でウクライナは黒海の港から農産物を輸出できなくなった。EUは陸路で運んで域内の港からアフリカなどに輸出するよう支援してきた。しかし、そのウクライナ産農産物が流通し、自国の農産物の価格が下がり、打撃を受ける。EUはポーランドなど5カ国がウクライナ産の農産物の輸入を禁止することを一時認めた。しかし、今月15日、ウクライナ側が輸出の管理を強化することなどを条件に撤回した。一方、ポーランド、スロバキア、ハンガリーの3カ国は独自に輸入禁止を継続。ウクライナはWTOに提訴した。ポーランドは第二次世界大戦でソビエトに占領された歴史などからロシアに対する警戒感が強いため、ウクライナへの支援を積極的に行ってきた。レオパルト2の供与もいち早く表明している。今年8月までに表明した軍事支援はアメリカ、ドイツ、イギリスなどに次いでポーランドは6番目。総額33億ドル。また、避難民も多く受け入れている。そのポーランドとの亀裂の広がりは各国のウクライナ支援の足並みの乱れを生みかねない。