韓国政府が医学部の定員増加に乗り出した背景には深刻な医師不足の実情があるようだ。OECDによると2021年の人口1000人あたりの医師数は韓国は2.6人。OECDの平均値が3.7人なので大きく下回っていることになる。ちなみに日本も2.6人だという。出生率が世界最低水準の韓国では少子高齢化が急速に進み今後医師不足に拍車がかかると言われている。今回医師側は医学部の定員を増やすことで医学教育の質が低下すると主張している。最もランクの低い大学の医学部でも全国一斉大学入試で全受験者の上位2.3%が条件。また医師の平均年収が韓国で高額所得者と言われる1億ウォンの倍以上の2億3070万ウォン(約2600万円)にのぼるという。政府の政策に賛成している人々は医師たちは給与や社会的地位が損なわれるのではないかと懸念していると分析している。こうした反発に政府は強硬に対応するとしている。保健福祉省が全国221の病院研修医に診療維持命令、出勤していない831人に対し業務開始命令を出し、応じない場合は医師免許停止になるという。また、韓国警察は出勤しない医師に対し告発があれば最大限迅速に捜査し、拘束まで念頭に置いて対応すると表明したという。済州大学医学専門大学院のイ・サンイ教授は今回の政府と医師たちの対立について「医師不足は事実。増やすことは反対しない。ただ今は増やしても収入が高い整形外科や皮膚科などの人気分野に集中する。必要なのは必須医療分野での医師増加。」と指摘する、などと伝えた。