ベルリン支局・田中顕一支局長の解説。首相が不信任となり議会選挙が行われるということだが、この先どうなるのだろうか。ショルツ首相は不信任となったが、ドイツの仕組みでは政治空白を避けるため選挙を経て後任が決まるまでは引き続き首相にとどまる。ただ、連立が崩壊し、少数政権となる中で政治の停滞が続くのは避けられない情勢。ドイツというとEUの中核を担う国だが、その政治の停滞はヨーロッパ全体にどのような影響を与えそうだろうか。ヨーロッパでは、ショルツ政権の崩壊は最悪のタイミングで起きたという受け止めも出ている。というのも各国は米国のトランプ次期大統領がヨーロッパに対して貿易や国防費の支出、さらにはウクライナへの支援などさまざまな分野で高い要求を突きつけてくると身構えているから。EUの中核を担うドイツが政治の停滞に陥ることはトランプ氏と協力の在り方を模索していくうえで痛手であることは間違いない。さらにドイツとともにヨーロッパをけん引するフランスも首相の交代が相次ぎ不安定な政権運営を余儀なくされている。両国の失速の背景にはロシアのウクライナ侵攻後、深刻化した経済的な苦境もある。この3年近くの間で国民の負担と不満は強まり、先行きへの不安は募るばかりだった。これから本格化する議会選挙でドイツが政治の安定を取り戻すことができるか、選挙の行方には大きな関心が集まっている。