香港は経済面でも中国に主導権を握られつつあるのが現状。香港との境界線沿いには高層ビルが立ち並んでいる。この一帯は大規模開発が進んでいて、習近平主席の肝入りの国家戦略「大湾区建設」の一大プロジェクトとしてハイテク産業の立地が見込まれている。中国としては国内景気が減速するなかで、この大湾区建設を経済の起爆剤にしたい考え。中国本土に消費が流出することで香港経済のダメージは計り知れないものがある。香港にくる観光客はコロナ禍前には戻っていない。トランプ政権が発動した関税措置では中国本土だけでなく、香港の製品も課税対象となった。香港を経済的にも中国本土と同一視する見方が広がれば、国際的な金融・物流センターとしての地位の低下は避けられない。中国の影響力が強まる中で、経済面の主体性をどこまで守っていけるかが今後の香港の先行きを占うことになる。