法務省は年内を目処にパブリックコメントを開始し、商令の商業登記規則の改正を予定している。現在は、ストーカーなどの被害のある場合をのぞいて法務局の窓口などで登記資料を閲覧でき、インターネット上でも見ることができる。代表者の住所公開は、公正で円滑な商取引を行うためで、会社法は代表者の氏名・住所などを登記すると定めているが、個人情報が不正利用され、脅迫やストーカー行為への懸念も出ている。経済団体や上場企業などからは、「代表者個人の住所を誰でも閲覧可能な状態にするのは望ましくない」との指摘があったほか、新興企業やフリーランスなどの業界団体は「ネット上に住所をさらされる可能性があり、法人化をためらうケースが発生している」と訴えていた。同時に悪質商法をする会社を消費者が適切に訴えられるよう、法務省は改正する商令案で、住所が非公開でも訴訟手続を担保する仕組みを盛り込む方針だ。(日経電子版)