陸上・辻沙絵選手。リオデジャネイロパラリンピック女子400mで銅メダルを獲得したが、29歳になって本命種目の400mを過酷だと表現するようになり、去年パリパラリンピックを最後に引退する意向を示していた。今その心境に大きな変化が生まれている。辻選手は「自分の成長が楽しい」と語った。転機の1つとなったのが、去年の世界選手権(フランス・パリ)。違う障害がある4人が100mずつ走るユニバーサルリレーに出場。10年近い競技生活で辻選手が初めて手にした金メダルだった。再び表彰台の真ん中に立ちたいと再スタートを決意。スタートの加速を強化して、世界の頂点を目指そうと、新たな練習を取り入れた。チューブの反発力を利用しトップスピードの感覚を繰り返し身体に覚え込ませた。また足の回転や地面に接地する足の強さの感覚をつかみスピードアップにつなげている。辻選手が頑張りたいと思える理由は、練習拠点にしている出身大学のパラ陸上部の仲間たちの存在。一緒に壁を乗り越えるチームメートが大きな支えになっている。パリパラリンピックという新たな目標を見いだし、限界に挑み続ける辻選手が大切にしていることばは「挑戦」。辻選手は「最後競り勝つという自分の理想の走りができるような挑戦をしていきたい」などと話した。