イスラエルとハマスの間で続く協議。焦点となっているのが、フィラデルフィ回廊。ガザ地区南部とエジプトの境界沿いに広がる全長およそ14km、幅およそ100mの緩衝地帯で今年5月イスラエル軍が制圧した。イスラエルは停戦後もこの地帯に部隊を駐留させるとしている。ハマスが回廊の一帯に無数の地下トンネルを築きエジプト側から武器を密輸していると主張している。一方のハマスは、イスラエル軍の完全撤退を求めている。イスラエルがガザ地区に駐留を続ける目的は人質の解放後に、いつでも攻撃を再開できるためだと主張している。協議の中で、イスラエルは「フィラデルフィ回廊に展開する部隊の一部を一定程度、離れた場所に配置する案を示した」などと報じられ譲歩したとされていた。一方、ハマスは「恒久的な停戦を合意の前提としないなどの譲歩を示したのに対しイスラエルがフィラデルフィ回廊への駐留など新たな条件を追加している」と非難している。イランでは先月、ハマスの当時のハニーヤ最高幹部が殺害された。イランはイスラエルによる攻撃だとして報復を宣言する一方ガザ地区での停戦に向けた協議の行方などを見極めながら判断する構えを示している。中東では協議が続いていたさなかの25日、イスラエルとレバノンのシーア派組織ヒズボラの間で大規模な攻撃の応酬が行われたが両者は事態のエスカレートを望まずいったん、鎮静した。しかし、イスラエルとハマスの協議が行き詰まっていることで引き続きイランの出方が焦点となり中東では紛争拡大の火種がくすぶったままの状態だといえる。そして、協議を仲介してきた米国。バイデン大統領は先週、開かれた民主党大会での演説で人質を帰還させてガザ地区での戦闘を終結させ中東に平和と安定をもたらすと力強く訴えた。この方針はハリス氏にも引き継がれている。一方、ブリンケン国務長官が恐らく最後のチャンスだと述べた今回の協議も結局、行き詰まりを見せている。米国国内でバイデン政権の対応に反発や失望が広がる中、バイデン大統領はレガシー作りを実現できずハリス氏は、大統領選挙で厳しく問われる可能性が高まっている。