裏木曽三ツ緒伐保存会の熊田貴則さんは岐阜市出身で10年前に中津川市に移住、森林整備の仕事に携わりながら活動している。三ツ緒切りは伝統に則って行われる。その特徴は黒く印を付けた斧を入れない弦と呼ばれる部分を3カ所残し、機の中に空洞を作ること。こうすることで木材の割れを防ぐことが出来る。空洞が大きくなると弦の1つを切り離してバランスを崩し、木が倒れかかったところでさらに2つの弦も切る。切り株に倒した木の先端を挿し、山の神に感謝を捧げる。この技術を受け継ぐのは簡単ではなく、直面したのは20年の間に進んだ世代交代。保存会は20~30代の比較的若い世代が多く、前回の伐採式を経験した人はほとんどが引退している。3年前に保存会へ入った青山裕紀さんは、初めは斧を狙った所に繰り返し当てるのも難しかったという。さらに同様の技法が残る長野県の保存会などとの練習会に参加。経験豊富なベテランから県を超えて技術を学んできた。今月の伐採式では樹齢110年のヒノキの大木に斧を入れた。