FRBはFOMCを開き政策金利の据え置きを決めた。FRBの理事2人が利下げを主張し反対票を投じた。2人が反対したのは32年ぶり。次回9月の会合に向け利下げの再開は近いのか、そのヒントを示すかどうかも焦点となった。パウエル議長は記者会見でトランプ政権による関税のインフレへの影響を見極めるにはさらに時間をかけるという慎重な姿勢を崩さなかった。パウエル議長は「基本シナリオとしては関税による物価押し上げ効果は一時的との見方がある」と指摘したが「持続的なインフレにつながるリスクも見ながら時間をかけて見極めたい」としている。4-6月期GDP速報値は3%プラスと前期の-0.5%からプラスに転じて景気は底堅さを保っている。パウエル氏は「やや引き締め的な現在の政策が適切」と強調。一方で「利下げが遅れると雇用にダメージを与える可能性もある」とも指摘。次回FOMCまでには雇用統計と消費者物価指数だけでもそれぞれ2回ずつ公表される中、利下げの再開時期やペースについて慎重に検討する。FOMCとパウエル議長の記者会見を受けて金融市場が見込む9月会合での利下げの見通しは57.9%から45%に低下している。FRBは分裂、FOMCではボウマン副議長とウォラー理事が0.25%の利下げを主張。2人は第一次トランプ政権の時に理事に指名されている。ウォラー理事は「関税による物価への影響は一時的、雇用の伸びが減速する可能性がある」と警戒感も示した。クグラー理事は欠席し投票を見送っている。クグラー理事は来年1月に任期をむかえることから、その後任にトランプ政権が次の議長候補となる理事をあてるとの構想が取り沙汰されている。ブルームバーグ通信はクグラー理事の欠席は個人的理由と報じている。