アメリカのトランプ大統領の就任から、あすで1か月。不法移民対策を優先課題に掲げ、バイデン前政権の政策を相次いで覆している。アメリカへの亡命を希望する人について、これまでは一旦入国させてから亡命を認めるかを審査していたが、現在は入国そのものを制限している。アメリカでは移民や亡命希望者を新たな労働力として期待してきた州もあり、懸念が広がっている。全米で最も高齢化率が高いメーン州。労働者不足が深刻化する中、移民や難民を積極的に受け入れてきた。最大都市のポートランドにある大人を対象にした公立の教育施設では日常英会話をはじめ、資格取得に必要な知識などを学ぶことができる。生徒の多くが亡命希望者で、50を超える国々出身の約2000人が通っている。校長を務めるのは日本人の父とアメリカ人の母を持つ山本雅さん。アメリカの大学を卒業後、日米の考え方や価値観の違いに戸惑いながらもアメリカ社会で働いてきた経験を活かして、移民・難民の支援に取り組んできた。メーン州で特に人手不足が深刻なのが看護の分野。ここでは認定看護助手の資格取得のための授業も行われている。卒業生たちは州内の病院や施設で即戦力として活躍しているという。しかし、トランプ大統領が打ち出した政策で状況が一転、入国自体を制限している。さらに、すでに入国した人たちの間でも審査にかかる時間が長くなったり、亡命が認められる可能性が低くなるのではという不安が広がっている。こうした中、メーン州は州政府の中に移民支援の新たな部署を開設。移民の受け入れを強化する姿勢を示した。山本雅さんは移民・難民なしでは州の経済は成り立たないと考えており、今後も支援に取り組みたいとしている。