通算5期目に入った、ロシア・プーチン大統領が、最初の外国訪問先として中国を訪れ、両国の結束を確認した。そうした中、中国からロシアへの支援について懸念を強めているのが米国。中国当局のデータをNHKが分析したところ、軍事転用が可能のある物資のロシアへの輸出が急増していることが明らかになった。中ロ首脳会談。両首脳は、会談で結束を確認したあと、共同文書に署名。プーチン大統領は、両国の関係が一層強まっているとアピールした。ロシアと中国が連携を強める中、米国が懸念しているのが、中国による軍事転用可能な物資の供給。その1つがニトロセルロース。塗料など民生用に使われる一方、着火すると激しく燃焼するため、弾薬の材料としても使われている。ブリンケン国務長官は先月、訪問先の中国で「中国はニトロセルロースなどの最大の供給国だ」と批判した。これに対し中国は軍事転用可能な物資も厳格に管理しているとした。NHKは中国の税関当局が公表しているデータを分析した。公表されているデータのうち、2021年まではほとんど輸出がなかったが、おととしは、年間700トン余り、去年はその2倍近い年間1300トン余りとなっていた。ロシアがウクライナ侵攻を初めて3か月後のおととし5月以降、急増していた。笹川平和財団・安全保障研究グループ・山本勝也特任グループ長は「ウクライナ戦争に使用する弾薬を増産するためロシアが中国から輸入しているとみるのが自然」とコメント。また中国は、ニトロセルロースを米国も含め各国に輸出しているが、1キロ当たりの価格に違い。欧米向けはおおむね2ドルから3ドル台なのに対し、ロシア向けは4ドル台と、高くなっていることも分かった。山本勝也特任グループ長は「ロシアから利益を取っている。単純な軍事支援ではない。中国が主でロシアが従属だというメッセージを送ろうとしている」とコメント。