ワシントン支局の須田記者、そしてモスクワ支局の渡辺記者がアラスカから中継。トランプ大統領は、事前の調整よりもトップどうしのディールを重視しているため、結果を予測するのは難しい状況だ。トランプ大統領としては、停戦に向けた第一歩として、ゼレンスキー氏を含む次の会談の実現につながる言質をプーチン氏から引き出したい考えで、いわば目標を低くすることで、成果を確実に示すねらいと見られる。背景の1つには、プーチン大統領を招待することに対して示されている懸念がある。ワシントンの国際政治の専門家の1人は「制裁などで国際社会から孤立させてきたプーチン大統領を、アメリカに迎え入れて、対等に会談すること自体が、プーチン氏にとって大きな勝利で、今回、成果がなければ、ロシア側に得をさせただけになってしまう」と指摘している。それだけに今回の会談で、一定の成果を示せるかは、ウクライナ情勢におけるトランプ外交の信頼性にも影響しそうだ。一方、プーチン氏にとって有利な結果を得ることを最優先に対応すると見られる。ロシア側の高官たちは、今回の首脳会談では、ウクライナ情勢だけでなく、アメリカとの2国間の貿易や経済、それに北極圏の開発などもテーマになると強調しており、そこにはアメリカによる制裁の解除につなげたいという思惑も透けて見える。また、ロシアの複数の外交筋に取材すると「掌握したウクライナの領土を手放すことはありえない」との見方が支配的で、今回の首脳会談をあくまで停戦に向けたプロセスの出発点だと位置づけている。このため、停戦に向けてロシアがどんな提案を行うのかも焦点となる。
