NATOとの対抗姿勢を鮮明にするロシア。双方が対峙する最前線で緊張が高まっているのがロシアの飛び地、カリーニングラード。NATOとEU加盟国のポーランドとリトアニアに挟まれ、更に新たに北欧のスウェーデンとフィンランドが加盟したためバルト海でも包囲される形になった。第二次世界大戦終結まではドイツ領で市内の一部にはドイツ風の街並みが残っている。カリーニングラードはNATOと向き合うロシアの戦略拠点として重要性が高まっている。ロシアにとってバルト海唯一の不凍港でロシア海軍バルト艦隊の本拠地となっておりNTO拡大に対抗し防衛を強化する動きをとっており、先月には戦術核兵器の使用を想定した軍事演習を実施するなど、プーチン大統領は核戦力を誇示し威嚇を続けている。一方、NATO側は先月、新たに加盟したスウェーデンも参加し20カ国による合同軍事演習「バルトップス」を実施するなどこの地域へのNATOの関与を強めている。地元メディアの編集長・アレクセイシャブニンさんは、ロシアとNATOとの対立が激化する中、最前線のカリーニングラードは偶発的な衝突によって軍事的な緊張が高まりかねないとの懸念を示している。さらにヨーロッパ側との対立は経済にも影響を及ぼしている。カリーニングラードは物資の輸送をロシア本土から同盟国のベラルーシ、EU加盟国のリトアニアを経由する鉄道や道路に頼ってきたが、EUはロシアの軍事侵攻に対し経済制裁を強化しており、リトアニア経由で入る物資が制限されロシア側はカリーニングラードが陸の孤島になると訴えている。この対立状況にロシアの地元政府の高官は、ヨーロッパ諸国から軍事面や経済制裁などでロシアへの圧力が一段と強まっていくと非難し、現状ではNATO各国との緊張緩和は見通せないと警戒感を示した。